ICT実証調査 田植え作業実演会を開催(岡山県赤磐市)
2016年06月29日
岡山県東備農業普及指導センターでは、平成27年度から全国農業システム化研究会ICT実証調査に取り組み、KSASの導入によるきめ細かな圃場管理を行うことで、収量・食味の改善と作業の効率化をめざした実証を行っている。
実証を担当する農家は、赤磐市の株式会社ファーム安井。水稲(ヒノヒカリ)15haを作付けしているが、生産した米のうち、食味の良いものだけを直売所で販売しており、食味と品質へのこだわりが強い。
平成27年度の実証調査では、調査対象の7圃場について、収量・タンパク含有率をKSAS対応コンバインで計測するとともに、土壌分析により可給態窒素含有量を調査し、これらを踏まえて圃場ごとに最適な施肥設計を行った。
平成28年度は、施肥設計に基づいてKSASで作業指示を作成し、田植機が作業指示通りに肥料を散布するか、また、施肥設計による収量・食味の改善効果を検証する。
6月22日、KSAS対応田植機による、田植え作業を行った。あいにくの雨天にもかかわらず、岡山県普及関係機関、生産者、メーカー等の関係者約35名が集まり、熱心に田植え作業を見学した。
左上 :実証調査の概要を説明する東備農業普及指導センターの西川主幹
右下 :最新のICT技術に多くの参加者が関心を寄せた
左上 :KSAS対応田植機 クボタZP67により田植えを行った
右下 :田植え作業前に、KSASモバイルで作業指示を確認
左上 :昨年、収量561kg/10a、タンパク含有率7.1%だったこの圃場、今年は施肥量を減らし、23.7kg/10aで設定。KSASにより自動的に施肥量が調整される
右下 :悪天候ではあったが、作業は順調に完了した。
また、実演会当日は、直進キープ機能付き田植機の実演も行われた。
GPSを活用した直進時の自動操舵機能を搭載することで、不慣れなオペレーターでも、マーカーの引けないような条件の圃場でも、まっすぐに植え付けができる田植機となっている。
植え始めに基準線(始点と終点を結ぶ直線)を登録することで、以降は、その基準線に平行に走行することができるようになる。
左上 :まずは1工程目のスタート時に始点を登録する
右下 :向こう側に到着後、終点を登録すると、基準線が設定される
左上 :以降は、手を離してもまっすぐに直進してくれる
右下 :直進キープ機能付き田植機 クボタEP8D-GS。機体上部にGPSアンテナが取り付けられている
熟練オペレーターであっても、直進を維持するには集中力が必要である。このような機能は労力の負担軽減につながり、植え付け状況の確認、肥料や苗の残量確認等、他のことに気を配る余裕も生まれるため、田植え作業における効果は大きいと思われる。(みんなの農業広場事務局)