中山間地域における水稲鉄コーティング直播栽培普及に向けた現地検討会(長野県上水内郡小川村)
2014年06月02日
近年、中山間地域では労働力不足が進み、作業の軽労化が求められている。育苗作業にかかる労力と育苗施設の確保が難しい中山間地域においては、省力技術である鉄コーティング直播栽培の導入が望まれるところだが、なかなか進んでいないのが現状だ。
長野県上水内郡小川村をはじめとする西山地域では、数年にわたり、小型直播機による実証試験が行われてきた。課題がある程度解決してきた中、今年度は、全国農業システム化研究会の事業を活用し、収量・労力・経費について、移植栽培と比較を行い、中山間地域における直播栽培の導入をめざす。
全国的に気温が上昇した5月14日、長野県上水内郡小川村で水稲直播栽培播種実演会が開催された。この日は長野県普及関係機関、JA関係者、小川村農林公社みらい、農業資機材メーカー、生産者等、約60名の参加者が集まり、直播栽培技術への関心の高さがうかがえた。
【試験区の概要】
・供試品種:ふくおこし(「コシヒカリ」より多収な長野県育成の加工米(米粉等)用品種)
・6条高精度播種機(WP60D‐TC)+こまきちゃん
・鉄コーティング種子を点播
・播種同時除草剤:オサキニ1キロ粒剤(住友化学株式会社)
・肥料:スーパー水稲ロング(60kg/10a、基肥一発肥料、側条施肥)
※「オサキニ1キロ粒剤」は直播専用の除草剤で、播種時~ノビエ3葉期まで散布ができ、SU抵抗性雑草にも有効である。
左上 :鉄コーティング播種のようす
右下 :均一に点播された種子
出芽揃いのタイミングで、除草剤「ベストパートナー豆つぶ250」(クミアイ化学工業株式会社)を散布し、ノビエ等の徹底防除を行う予定だ。
昨年は、長野県育成の新しい主食用品種「風さやか」で地域慣行と同等の単収約540kgを達成した。今年度は、地域慣行同等か、それ以上の収量をめざす。(みんなの農業広場事務局)