提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


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稲作




鉄コーティング直播栽培、密播疎植栽培による飼料用米の省力・低コスト・多収穫生産技術の実証(栃木県鹿沼市)

2011年05月24日

 近年急速に作付面積を拡大している飼料用米は、主食用米に比べて販売価格が安価であるため、いっそうの省力・低コスト・多収穫生産技術が求められている。
 栃木県上都賀農業振興事務所では、全国農業システム化研究会の実証調査事業により、省力・低コスト・多収穫生産技術の確立を目指した、飼料用米の鉄コーティング直播栽培(点播)と密播疎植栽培の現地実証に取り組んでいる。


 亀和田・北赤塚地区営農組合の現地ほ場で行われている実証調査は、平成23年度、以下の3つのねらいのもと、飼料用米(モミロマン)の作付けを実施している。

①鉄コーティング直播栽培技術および密播疎植栽培技術による、低コスト化、省力化、および生育特性を検討する
②緩効性肥料利用による多収穫栽培技術について検討する
③乾燥経費削減のために、立毛乾燥技術の特性を把握する

 これらの技術を組み合わせて、kg当たりの生産費70円台を目指し、生産技術の検討を行う計画だ。


●鉄コーティング直播栽培の実証作業

 5月10日(火)現地ほ場にて、鉄コーティング直播の実証作業が行われた。
 直播作業は、クボタNSU67に播種機(鉄まきちゃん)と除草剤散布機(こまきちゃん)を搭載し、10a当たり4kgの種子籾の播種と同時に、除草剤(サンバード粒剤)を散布した。今年から適用拡大となった同剤は、播種時に、播種同時散布機での施用が可能となり、除草剤散布作業の省力化を図ることができる。
 直播区は2つの調査区を設け、1つは基肥に石灰窒素20kg/10aを施用した区、もう1つは42被覆尿素LP100を10kg/10a施用した区。緩効性肥料の違いによる、収量への影響等を調査する。


  
 :直播作業の様子 /  :播種と薬剤散布後の状態


●密播疎植栽培の実証作業

 直播作業から6日後の5月16日(月)には、隣接するほ場で、密播疎植栽培の実証作業が行われた。
 田植え作業は、クボタNSU67に除草剤散布機(こまきちゃん)と箱施用剤散布機(箱まきちゃん)を搭載し、除草剤(イノーバDXアップ1キロ粒剤51)と箱施用剤(Dr.オリゼフェルテラ粒剤)を田植え同時処理し、直播同様に省力化を実現する。密播疎植栽培区は、箱当たり200gの播種量(対照区は160g)で育成した苗箱を、栽植密度45株/坪(対照区は60株/坪)で移植することにより、苗箱に係るコストの大幅削減を目指す。


  
 :田植え作業の様子 /  :通常播種の苗箱(左)と密播種の苗箱(右)


 今後、生育調査を実施していき、立毛乾燥後、収穫を行う予定だ。収量、経費等を比較・検討し、飼料用米の生産技術確立を目指す。(みんなの農業広場事務局)