スマート農業全国フォーラムを開催(富山県富山市)
2022年01月04日
研究会では2017年から毎年度「スマート農業全国フォーラム」を実施してきたが、昨年度はコロナ禍により中止。今年度は会場と動画配信(ZoomおよびYouTube)によるオンライン開催とし、2年ぶり4回目の開催となった。主催は一般社団法人全国農業改良普及支援協会、富山県の後援、くるみ会(農業機械メーカーグループ)が協賛。
室内検討
午前中は大研修室を配信会場に、オンラインフォーラムを実施。
(一社)全国農業改良普及支援協会の岩元明久会長と富山県横田美香副知事による挨拶の後、講演及び事例紹介を行った。
室内配信会場
左 :(一社)全国農業改良普及支援協会 岩元明久会長による主催者挨拶
右 :富山県横田美香副知事による挨拶(動画より)
●スマート農業の情勢について
農林水産省大臣官房 安岡澄人生産振興審議官
スマート農業の展開状況、スマート農業実証プロジェクトの成果や現場実証の加速化に関する報告と、関連予算等の情報提供を行った。
▼発表データこちらから(pdfファイル:8.83MB)
●スマート農業実証プロジェクトのとりまとめ報告
農研機構本部 企画戦略本部 研究統括部 スマート農業事業推進室 実証チーム
スマート農業コーディネーター 大黒 正道 氏
令和元年度に開始したスマート農業実証プロジェクトの水田作30地区の成果報告についての取りまとめ結果を報告した。
●東北日本海側1年1作地帯の大規模水稲・大豆輪作集落営農型法人におけるスマート農業による生産性向上の実証の成果
たねっこスマート農業実証コンソーシアム
農研機構 東北農業研究センター 水田作研究領域 白土宏之水田作グループ長
農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:大B04)」「たねっこスマート農業実証コンソーシアム」の実証についての情報提供を行った。スマート農業による大区画圃場の有効活用、および労働力不足と地力・排水ムラ、農地集積対応等の問題の解決を目的に実証を行い、移植時間15%減、育苗資材費25%減、潅水支援システム利用で大豆29%増収などの結果が得られた。
▼発表データはこちらから(pdfファイル:3.11MB)
●大規模水田作の大区画ほ場での超省力作業体系の技術実証の成果
射水市スマート農業実証コンソーシアム
農事組合法人 布目沢営農 小塚守代表理事組合長
農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:大D11)」「射水市スマート農業実証コンソーシアム」の取組内容についての情報提供を行った。
自動給・排水栓の導入による労力節減の実証では、10a当たりの水管理作業時間は、移植栽培で43%、乾田直播で80%削減。直進キープ可変施肥田植機と収量コンバインによる肥料の低減と産米品質向上調査では、1筆内の収量ムラが改善され、収量は増加し、食味も向上。スマート農業機械導入前に比べ経営面積が増加したにもかかわらず作業時間が減少したことが報告された。
▼発表データはこちらから(pdfファイル:2.58MB)
●富山県スマート農業普及センターの紹介
公益社団法人富山県農林水産公社農業部 スマート農業普及課 吉田稔課長
スマート農業を担う人材と指導者を育成する拠点施設として、富山県が整備した「スマート農業普及センター」(令和元年度地方創生拠点整備交付金による)について紹介。研修・展示スペースを備えた本館にはドローンやトラクタのシミュレータなどもあり、屋外にはトラクタ等講習・試験コースや体験エリアでロボットトラクタ、ロボット田植機等のスマート農機の操作体験等が可能となっている。
▼発表データはこちらから(pdfファイル:1.66MB)
オンライン機械実演(展示)
午後からは屋外に会場を移し、株式会社クボタ常務執行役員で木村浩人研究開発本部長のあいさつを皮切りに、機械実演を実施。
株式会社クボタ常務執行役員 研究開発本部 木村浩人本部長の挨拶(動画より)
スマート農業普及センター所有のロボットトラクタ、ロボットコンバイン、ロボット田植機を展示
機械実演に先立ち、「富山県スマート農業普及センター」の紹介動画を再生。
トラクタやドローンのシミュレータ操作の様子も紹介
●ロボットトラクタの紹介(MR1000A)
紹介動画より
左 :前方の障害物を検知するレーザーとソナー(無人仕様)
右 :自動運転を外部から操作するリモコン
●ロボットコンバインの紹介(DR6130A)
左 :運転席からの刈り取りの様子(紹介動画より)
右 :キャビン上部にあるGPS移動局
●ロボット田植機の紹介(NW8SA)
左 :自動運転中の運転席からの画像(紹介動画より)
右 :RTK-GPSアンテナユニット。左側の黒い物体は、直接通信ユニットで、KSASクラウドシステムとの通信が可能
●農業用ドローンの紹介(T20K)
左 :ドローンの紹介
右 :オペレータ資格を持つ吉田稔課長によるドローン飛行のデモンストレーション
質疑応答では、オンライン参加者からの質問に答える
昨年からのコロナ禍により、オンラインでの開催を余儀なくされたが、全国から普及指導員、研究・行政機関担当者、農業資機材メーカー等、約440名の参加があった。オンライン参加については好意的な意見が多く、今後もオンラインでの動画配信を望む声が多く聞かれた(みんなの農業広場事務局)。