スマート農業全国フォーラムを開催(埼玉県熊谷市・鴻巣市)
2018年12月04日
わが国の農業は、担い手等の人材の確保、高齢化など多くの課題を抱えているが、ロボット技術やICT等の先端技術を活用する「スマート農業」は、これらの課題を解決し、効率的で安定的な生産を実現するための革新技術として注目を集めており、全国農業システム化研究会(事務局:全国農業改良普及支援協会)でも、取り組みをおこなっているところである。
研究会では11月7日に、昨年につづいて第2回目となる「スマート農業全国フォーラム」を埼玉県で開催した。
●機械実演・展示見学
埼玉県鴻巣市の(国研)農業・食品産業技術総合研究機構農業技術革新工学研究センター附属農場において、無人ロボットトラクタ、直進キープ(GPS搭載)田植機、自動操舵トラクタ、ロボットコンバイン、農業用ドローン、パワーアシストスーツの実演と、圃場水管理システムWATARAS(ワタラス)の展示がおこなわれた。
左 :(一社)全国農業改良普及支援協会 染英昭会長による主催者挨拶
右 :農業技術革新工学研究センター 藤村博志所長による挨拶
左 :無人ロボットトラクタによる自動運転作業 (クリックで動画を再生)
右 :ICT田植え機によるアシスト運転作業
左 :ロボットコンバインによる自動運転作業
右 :直進キープ運転トラクタによる各種作業
左 :農業用ドローンの自動飛行
右 :パワーアシストスーツによる運搬作業
●検討フォーラム
キングアンバサダーホテル熊谷に会場を移し、検討フォーラムが行われた。
農林水産省大臣官房 菱沼義久生産振興審議官からの挨拶の後、以下の講演が行われた。
左 :大勢の参加者でほぼ満員の会場
右 :農林水産省大臣官房 菱沼義久生産振興審議官による挨拶
「スマート農業の現状と課題」
(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 理事 寺島一男氏)
SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)における「生産システム」の取り組み状況や、新たな営農管理システム、農業データ連携基盤(WAGRI)等の情報を提供。
「水田の水管理を遠隔・自動制御化する圃場水管理システム」
(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構農村工学研究部門)
農地基盤工学研究領域 特別研究員 鈴木翔氏
ICTを活用した遠隔・自動給・排水装置と、その実証試験の概要、今後の展望を紹介。
「ロボットトラクタの作業効率改善効果に関する実証調査への取り組み」
(鹿児島県農業開発総合センター大隅支場農機研究室 研究専門員 溜池雄志氏)
GNSSを用いた有人自動操舵および無人自動運転の作業性能調査、ロボットトラクタを活用した作業体系についての検討等の取組みを紹介。
「岩手県におけるスマート農業への取り組み事例」
(岩手県中央農業改良普及センター地域普及グループ 主査農業普及員 臼井智彦氏)
RTK-GNSS導入や運用について、岩手県内の取り組み事例を紹介。
「ICT農機等を活用したスマート農業の取り組み」
(株式会社クボタ 特別技術顧問 飯田聡氏)
スマート農業への取り組みの背景から、クボタの取り組むスマート農業の紹介と今後の取組みについて講演。
「農林水産省からの情報提供」
(農林水産省農林水産技術会議事務局研究推進課 課長補佐 稲垣晴香氏)
スマート農業に関する補助事業等の情報提供を行った。
左 :熱心に講演を聞く参加者
右 :圃場水管理システムWATARAS(ワタラス)の室内展示
農林水産省は来年度、「スマート農業加速化実証プロジェクト」として50億円の概算要求をおこなっている。スマート農業への注目がますます集まる中、今年度も普及指導員、研究・行政機関担当者、市町村・JA関係者、生産者、農業資機材メーカー等、全国から200名を超える参加があり、フォーラムは盛況のうちに幕を閉じた。(みんなの農業広場事務局)