鎮圧方式乾田直播栽培の実証調査を実施(滋賀県野洲市)
2023年05月12日
滋賀県大津・南部農業農村振興事務所農産普及課では、担い手の高齢化や人手不足等の課題に対応するため、全国農業システム化研究会実証調査事業を活用し、鎮圧式乾田直播栽培による省力・低コストで環境負荷も少ない栽培技術の実証調査に取り組むこととしている。
実証場所の滋賀県南部の湖南地域に位置する野洲市は、琵琶湖につながる野洲川を中心に水田が広がり、品質の高い米産地として知られている。
主な調査課題は以下の3点。
①スマート農業技術を活用した乾田直播技術を導入し、慣行の移植栽培との比較により省力性と収量性について検証する。
②乾田直播の播種方式をロータリーシーダーと不耕起汎用ドリルで比較し、播種精度、省力性、収量性について検証する。
③地域における乾田直播栽培導入による省力性、収益性の比較を行い、導入による地域への効果を検討する。
4月13日、実証圃となる南櫻農業生産組合の圃場で乾田直播栽培における播種作業の実演会が行われた。
約1haの大区画圃場は、すでにレーザーレベラーによる均平、ブロードキャスターによる基肥散布、バーチカルハローによる攪拌、ケンブリッジローラーによる鎮圧作業が済んでおり、当日は不耕起汎用ドリルによる播種作業とケンブリッジローラーによる鎮圧作業の実演を行った。滋賀県内の普及関係職員や生産者など約30名が集まった。
圃場の準備は整っていたが、前日の降雨による帯水が見られたため、作業は一部のデモンストレーションとなった
実証調査の概要を説明する、滋賀県大津・南部農業農村振興事務所農産普及課の柴田主任技師(左)
不耕起汎用ドリルによる播種は、条間19cmで10a当たり5.5kgを播種する設定。時速約8kmでの作業だが、クボタアグリロボトラクタMR1000Aの自動運転機能により高精度な播種が実現できる
播種前と播種後の鎮圧に使用されるケンブリッジローラー。トラクタはクボタMR800を使用した。
(クリックで動画再生)
播種後の状況を確認する参加者。種籾は覆土鎮圧され、深さ約2~3cmの位置に播種された
4月28日には、播種後(出芽前)の除草剤(ラウンドアップマックスロード)散布作業が行われた。
滋賀県大津・南部農業農村振興事務所農産普及課では、今後、生育、収量、品質などの調査を行い、作業時間やコストなども踏まえた経営的な評価を行っていく予定だ。(みんなの農業広場事務局)