提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ドローンを活用したマメシンクイガの効果的防除の実証(秋田県大館市)

2020年12月28日

 近年ドローンによる防除面積が増加しているが、大豆の病害虫防除に対する実証例は少なく、効果的な散布技術が十分に確立されているとは言いがたい。
 そこで、秋田県では令和2年度、ドローンを活用して子実害虫マメシンクイガに対する薬剤や散布方向の違いによる効果について、実証試験をおこなった。


(参考)
GNSSを活用したダイズの培土作業実演会の開催(秋田県大館市)


表1 各区の設計内容(耕種概要)
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図1 ほ場の概要


1 マメシンクイガの発生消長
 8月21日からたたき出しの調査をしたところ、多いほ場で91頭/100mと成虫の発生ピークを迎えていたが、9月上旬にはほぼ発生が確認できなくなった。参考程度であるが、秋田県病害虫防除所の調査では、発生期間を通じて少なくなっていた。
 本年実証したほ場は、昨年度マメシンクイガの被害率が40%を超えていたため、越冬繭が非常に多かったと考えられた。


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図2 マメシンクイガの発生消長


2 散布時間の比較
 ブームスプレーヤ(慣行、実証3平均)の散布時間は600秒/10aであったが、ドローン(実証1、2平均)は74秒/10aと、ほぼ8分の1であった。
 ドローンによる畦方向(実証1)と直交方向(実証2)の散布時間は、実証1が69秒/10a、実証2が78秒/10aとなった。実証2のほ場は、ほぼ正方形であったが、ほ場の形状によっては横移動回数が増加するため、散布時間がさらに増加すると考えられた。


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図3 ドローンによる散布 / 図4 散布実演会の様子


表2 ドローンによる殺虫剤散布時の概要(8月27日散布)
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3 薬剤の違いによる防除効果の実証
 畦方向に散布したプレバソンフロアブル5(実証1-1)とアディオン乳剤(1回散布:実証1-2)のマメシンクイガに対する防除効果を比較したところ、実証1-1の被害率は3.9%、実証1-2で7.0%となった。ブームスプレーヤで散布した慣行は3.2%であった。
 無処理区は設置していないものの、昨年度の被害率は40%を超えていたことから、ドローンによる防除効果は高いと判断できた。また、2回散布により防除効果が高まると考えられた。


表3 層別被害率
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4 散布方向の違いによる防除効果の実証
 同一薬剤を供試し散布方向を変えたところ、実証1-2の被害率は7.0%、実証2の散布は12.9%と、畦方向散布で防除効果は高かった。今回初めての実証で他の事例もないことから、防除効果に大きな差が出た要因について明らかにできなかったため、さらなる検証が必要である。


5 散布方法の違いによる防除効果の実証
 ブームスプレーヤによる散布(慣行と実証3の平均)とドローンによる散布(実証1-1,2の平均)を比較したところ、慣行区の被害率は4.8%、ドローン区は5.4%と同程度であった。


表4 散布方法別、層別被害率
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6 階層別被害状況の比較
 ダイズを地際から20cmごとに切断し、層別の被害状況を調査した。
 ドローンによる散布(実証1)は、4.4~6.1%と層別による差はほとんどなかった。また、ブームスプレーヤによる散布(慣行と実証3の平均)は、4.3~5.6%と、こちらも差がなく、どちらも下層まで薬剤が到達していることが示唆された。


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図5 階層別調査


7 今後の課題・展望
 ドローンによる畦と直交方向の散布では、マメシンクイガの被害率が高かったが、他の事例がないことから、十分な考察はできなかった。畦方向散布と直交散布で、ダウンウオッシュによるダイズのなびき状態や方向の違いが防除効果に影響するかどうか、さらに検証が必要と思われる。(みんなの農業広場事務局)
※写真・データ提供:秋田県