提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


可変施肥機能付き田植機で酒米の単収向上及び品質の均質化を目指す(岩手県二戸市)

2020年06月18日

 和食ブームの後押しにより、日本酒が近年、海外で注目を集めている。種類が増えたことや個性的な日本酒が増えたことも、その要因であると考えられる。
 岩手県二戸市にある酒造会社「株式会社南部美人」は、2017年にIWCチャンピオン・サケを受賞。日本酒の輸出やAI(人工知能)を活用した酒造に積極的に取り組んでいる。この酒造会社が受賞した日本酒の主原料となっている岩手県オリジナル酒造好適米「ぎんおとめ」(以下、「酒米」と表記)は、JA新いわて北部地域稲作生産部会二戸支部酒米研究会の会員14名が生産しているが、契約数量の確保と玄米タンパク質含有率の低減及び均質化が課題となっている。


 そこで二戸農業改良普及センターは、酒米研究会の課題解決を支援するため、全国農業システム化研究会事業を活用し、可変施肥田植機(NW8S-PF-GS)による酒米の単収向上及び玄米タンパク質含有率の低減及び均質化の実証を進めている。
 本実証では、昨年の収穫時に「収量・食味センサ付きメッシュマップコンバイン(DR6130S-PFQW-C)」で取得した収量・玄米タンパク質含有率のマップデータから、KSAS(クボタスマートアグリシステム)上で収量・タンパクのムラを解消するための「施肥マップ」を作成する。
 この施肥マップをクラウド上のKSASから可変施肥田植機に読み込ませることで、あらかじめマップで設定した量の肥料を側条施用することができる。


 実証圃は4つ。このうちA・B・D筆で可変施肥を行い、可変施肥を行わないC筆(対照区)と比較する。田植え前の4月10日に実証を担当する(農)金田一営農組合、及び普及センターが参集し、地元の(株)みちのくクボタ担当者のレクチャーを受けながら、KSAS上で施肥マップの作成を普及員と生産者が自ら実践。クボタの技術担当からの「施肥ムラにならないよう、なだらかに大括りでマッピングする方がよい」等のアドバイスを踏まえ、施肥マップを決定した。


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A筆の施肥マップ


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B筆の施肥マップ


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D筆の施肥マップ


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施肥マップの作成風景(4月10日))


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令和元年度のデータと令和2年度の目標収量・タンパク含有率値

 5月15日の田植え作業では、実証関係者30名ほどが集まり、酒米の品質や収量の向上への期待が寄せられた。実証機は、可変施肥機能のほか、GPSを利用した直進キープ機能も搭載していることから、オペレータの作業負担軽減、高い作業能率にも関心が集まった。


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左 :本実証調査の説明を行う、岩手県二戸農業改良普及センターの山本上席農業普及員
右 :(農)金田一営農組合の五日市亮一組合長


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可変施肥田植機(NW8S-PF-GS


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左 :KSASから設定内容を受信(施肥、株数)
右 :施肥量表示(円内:施肥マップの場所に応じ変化)

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作業風景 benri_movie1.jpg (クリックで動画再生)


 実証担当経営体である(農)金田一営農組合の五日市組合長は、「最先端技術を活用することで、安全に作業効率を高め、経験を要する熟練した技術もカバーできるようになれば、若い担い手への大きなアピールとなる」、「地元酒蔵メーカー(南部美人)に出荷する酒米が、バラつきがなく、安定した収量が確保でき、さらにタンパク含量の基準を満たす高品質米となれば、営農組合だけでなく地域の生産者からの期待も大きい」と話す。

 田植後は従来通りの管理をし、秋には昨年同様に、収量・食味センサ付きメッシュマップコンバインで収穫を行う。収穫の際に取得したデータを確認しながら、施肥マップを再検討していく。データの蓄積によって構築されるシステムは、年を追うごとに改良が進んでいくと思われる。(みんなの農業広場事務局)

※写真提供:岩手県


(参考)
うまい酒はうまい米から! ~食味・収量センサ付きメッシュマップコンバインによる酒米の収穫作業実演会を開催~ (岩手県二戸市)