ニンジン排水対策機械実演会を開催(富山県小矢部市)
2016年06月28日
富山県における耕地面積のうち水田の占める割合は極めて高いが、米価の低迷などにより、近年、水田を利用した園芸品目の作付に取り組む経営体が増加している。
平成28年度、高岡農林振興センターは全国農業システム化研究会の事業を活用し、水田を利用した、ニンジン機械化栽培の安定生産技術の確立に取り組むこととなった。
当地域では、水田利用のニンジン栽培において、排水不良による単収・品質の低下、高温・乾燥による発芽率などの低下、収穫・運搬作業の重労働などが問題となっている。
そこで、排水不良を解消するため、6月22日、富山県関係機関、資機材メーカー、生産者など約30名が見守る中、穿孔暗渠機(カットドレーン)による排水対策実演会を実施した。
左上 :実証調査の概要を説明する富山県広域普及指導センターの宮元史登副係長
右下 :株式会社クボタの森田敏雅技術顧問よりカットドレーンの説明
排水対策は暗渠だけではなく、表面排水も重要となるため、前日に額縁明渠も施工している。
排出先となるところに溜升を作り、そこから3本の暗渠を施工した。そして、暗渠と排水溝をパイプでつなぎ、溜升は埋め固めた。また、いずれ水田に戻すことも考慮し、圃場内のカットドレーンは、水田時のトラクタ作業の妨げにならないよう、ひし形状に引き、排水の能率を向上させた。
左上 :排水溝前に作った溜升からカットドレーンを引いていく
右下 :作業の様子を見守る参加者
圃場には勾配があり、排出側は反対側に比べ、高くなっている。さらに、排出先は砂地質で、暗渠がつぶれやすいと考えられるため、排水がしっかりと行われるか注意して観察をする必要がある。
しかし、カットドレーンを行ったことで縦浸透量は増し、排水効果は確実にあるものと推察される。さらに圃場を2分割し、片方を高畝栽培および超砕土成形ロータリで土壌の細分化をはかり、いっそうの排水対策を行う。
今後は分割した2圃場と慣行区とを比較検討し、安定生産技術の確立につなげていく予定だ。(みんなの農業広場)
手前側は勾配が高く、粘土質のため排水が悪いが、ひし形状にカットドレーンを引き、排水能率を向上させる