半履帯トラクタを活用したサトウキビ管理技術に関する現地検討会が開催される(鹿児島県大島郡伊仙町)
2015年10月13日
半履帯トラクタ(セミクローラ型トラクタ)は接地圧が小さくけん引力が優れ、圃場沈下や踏圧が少ない等の利点があり、近年、全国の水田地帯を中心に普及が進んでいる。
南西諸島の重粘土壌地帯においてもけん引力や作業時の振動が少ないことなど、有効性について明らかとなり、サトウキビ栽培において、小型半履帯トラクタを活用した機械化管理技術が確立されつつある。
9月17日、南西諸島のサトウキビ栽培における半履帯トラクタの優位性と、サトウキビ栽培の省力・低コスト・安定生産に資することを目的として、鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場において、全国農業システム化研究会による、半履帯トラクタを活用したサトウキビ管理技術に関する現地検討会を開催した。
<室内検討会>
初めに、室内で、これまでの実証調査の成果発表が行われた。
馬門克明氏(鹿児島県農業開発総合センター徳之島支場)より、「重粘土壌地帯における半履帯トラクタの特性と半履帯トラクタを活用したサトウキビ管理技術について」の報告があった。
平成25年度から取り組んでいる実証調査は、今年で3年目となる。調査では、スリップ率や直進性による作業能率、燃料消費量等、車輪トラクタ(ホイル型トラクタ)との優位性を示した。
続いて、大田雄二氏(鹿児島県大島支庁徳之島事務所農業普及課)から、「半履帯トラクタのサトウキビ栽培への現地適応性」の報告があった。
こちらも半履帯トラクタの重粘土地帯における適応性について、平成26年度より実証調査が行われており、基本解析や作業能率が確認された。
最後に、重伸夫氏(大島郡伊仙町 サトウキビ生産者)より、半履帯トラクタの活用事例の報告があった。半履帯トラクタを導入した効果としては、「株出し栽培で心土破砕が可能になった」、「降雨後、中耕作業等、車輪トラクタに比べ早く圃場に入れる」などの利点を述べた。また、平成25年度に導入したトラクタの使用時間が800時間になるが、「耐久性は特に問題なし」とのこと。
重伸夫氏による報告。生産者の生の声に参加者も熱心に聞き入った
<現地検討会>
続いて、圃場に移動し、機械の実演・試乗・展示が行われた。
●中型半履帯トラクタの作業技術に関する実演
●小型半履帯トラクタの作業技術に関する実演
数多くの機械を一度に見られる機会は滅多にないため、参加者は熱心に見て回っていた。百聞は一見にしかず、と集められた機械による実演は、「振動差の違いが、半履帯トラクタと車輪トラクタ、二台並べて走ってくれたから分かりやすかった」など、参加者にも大変好評であった。(みんなの農業広場)