提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


岩手クボタ大豆300A研究会 平成21年度成績発表会を開催

2010年03月03日

 岩手クボタ大豆300A研究会が発足して1年。県内5カ所に設けられた大豆実証圃では、それぞれの気象や土壌、地域特性に合わせた栽培技術の検討が行われている。2月15日(奥州市)、16日(八幡平市)には、平成21年度の取り組みを振り返る成績検討会が開催された。奥州市水沢区の胆江地区勤労者教育文化センターで行なわれた検討会の模様をレポートする。


 岩手クボタ大豆300A研究会の会員は、現在約250名。高橋豊(株)岩手クボタ代表取締役社長は開会の挨拶の中で、今年の取り組みに対し一定の成果が得られたと話し、会員に向けて「今後ともがんばりましょう」とメッセージを送った。続いて壇上に立った玉置政嗣(株)クボタ機械営業本部(東日本)東北地区長は「この機会にたくさんの情報を持って帰っていただきたい」と述べ、営農支援に力を注ぐ姿勢を示した。
挨拶をする高橋豊(株)岩手クボタ社長


 実証報告では、初めに中央農業改良普及センターの中野央子普及員が登壇、岩手北部の岩手町一方井地区営農組合と、軽米町大清水地区営農組合の成績と課題について発表した。

  一方井地区では「岩手農研方式小畦立て栽培技術」を取り入れ、多収を目指した。「簡易小畦立て播種(浅耕播種)」、「耕うん同時畦立て播種」も行ない、生育状況と収量を比較したところ、岩手農研方式小畦立て区は圃場の排水が良く、湿害の影響を受けなかったことから343kg/10aの収量となり、百粒重が26.2gと大きくなった。簡易小畦立て区(浅耕)、耕うん同時畦立て区は全般に湿害による生育停滞が見られ、収量はそれぞれ226kg/10a、250kg/10a、百粒重は23g前後と小粒傾向となった。
真剣に聞き入る会員たち

 大清水地区では、湿害対策に有効な播種方法を探るため、小畦立て播種と耕うん同時畦立て播種を比較するとともに、機械除草での栽培体系を検討するため、除草カルチによる機械除草と、除草剤を使用した慣行栽培を比較した。結果は各実証区とも品質良好で、実収量は227〜247kg/10aで収量差も小さかった。来年度からはコスト面でメリットのある小畦立て播種を取り入れ、機械除草の効率や精度を上げるような播種技術を確立し、農薬削減による有利販売の実現を目指す。

 次に、奥州農業改良普及センターの土田典子普及員が、奥州市水沢区の姉体上野営農組合の取り組みを発表した。奥州地域では排水対策が進んでいる一方で、除草対策が課題となっている。そこで今年度は効率がよく効果の高い除草体系について、実証と検討を行った。
耕起はできるだけ砕土率を高めて、播種は条間・株間を揃えてまっすぐに、播種後の土壌処理除草剤は土が湿った状態で散布し、使用時期や使用量を厳守するなど、作業上の注意点を挙げ、「基本的なことばかりだが、これを忠実に行うことで効果が得られる」と締めくくった。


左  :検討会の様子  右 : 各試験区で収穫された大豆を展示


 北上市の二子中央営農組合では、しわ粒低減対策について実証し、中央農業改良普及センターの小舘琢磨普及員が結果を発表した。二子地区では「リュウホウ」の契約栽培が行なわれているが、平成18年頃からちりめんじわと呼ばれるしわ粒が発生するようになり、問題となっている。また収量も平成18年産の244kg/10aをピークに、伸び悩んでいる。

 そこで、播種期や栽植密度、施肥法などの異なる試験区で実証を行った結果、今年度産は全量1等となり、しわ粒による落等は見られなかった。その要因は、子実肥大期に当たる開花後6〜7週頃の平均気温が、平成21年は平年並かそれ以下で推移したことが考えられる。収量も、すべての試験区において、250kg/10a台を超え、高い水準となった。
組合員からは「この結果を参考にして、今後も収量と品質の向上に取り組んでいくが、実証は何年か継続していく必要がある」という声が聞かれた。


 有原丈二(株)クボタ技術顧問は、排水対策の重要性を説いた上で、開花期以降の大豆には、多量の水分が必要であること、雑草防除のポイントなどに触れた。

 具体的な雑草対策は、(独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センターの中山壮一上席研究員から示された。初期の除草が重要で、「耕うんの除草効果を過信せず、大型の雑草が繁茂している場合は、耕耘前または耕起後の再生株に対して、非選択性茎葉処理剤を使用すること。大豆の出芽後に気づいた時は、早めにバサグランを使うこと(バサグランが効くタデ類やアメリカセンダングサの場合)」と話した。


 会場に集まった関係者のうち、生産者は約100名。質疑応答では、「キュウホーによる除草で除草効果を出すためには、どうしたらいいのか」「平畦でも収量が確保できているが、小畦立てにしたほうがいいのか」「ネキリムシの被害に悩んでいるが、播種前の対策は」など、実践を通して感じた疑問や、直面している課題について、専門家に意見を求める声が相次いだ。
活発な情報交換により、会員たちは高単収、高品質の大豆栽培に向けて、意欲をさらに深めた様子だった。(橋本佑子 平成22年2月15日取材)