「棚田にヤギを放牧」して、遊休農地を減らせ!
2008年04月04日
棚田百選の棚田にヤギ?!
熊本県南部の球磨村には、日本の棚田百選にも選ばれた「松谷棚田」があり、美しい農村景観が保たれてきた。
ところが最近、耕作放棄地がふえ、せまく急傾斜の棚田に野草が生い茂り、荒れ地が目立つようになってきた。
「この棚田を再生し、地域活性化につなげることができないか」と、2年ほど前に球磨村から県球磨地域振興局農林部農業普及指導課に相談があり、球磨村棚田保存会(松谷集落ほか3集落で構成・柳詰数安会長)を立ち上げて、「ヤギ」の放牧を始めることになった。
なぜ、「ヤギ」なのか。
ヤギは、急斜面を自由に上り下りできる。体が小さいので、棚田の石積みを壊すことがない。野草をよく食べるので、草刈りの必要がない。
農業普及指導課が「肉用牛の球磨型放牧」のノウハウを、球磨地域振興局が「元気づくり地域推進費活用事業」による放牧のための柵等の資材を用意して、いよいよ平成19年6月、2頭のヤギが放牧された。近くの小学校の児童が大喜びで通い、かわいがるようになり、2頭は「イチロー」「メイリー」と名前がついた。
(写真 左 :「イチロー」と「メイリー」 右 :放牧されているヤギたち)
ヤギ放牧の効果は
50アールの遊休農地に周囲300mの牧柵で囲った農地は、はじめのうち2頭では草を食べ尽くせず、ボランティアが草刈りをしていたが、他地域からのヤギ導入や分娩で、ヤギが16頭(うち、子ヤギ6頭)まで増えると、今度はエサが足りなくなった。
地域の人たちが、エサ不足と聞いて、サツマイモのつる、ダイコンやハクサイの葉、乾草などを持ち寄って、ヤギの様子を見に来るようになった。特に愛くるしい子ヤギたちは皆の人気者で、いつの間にか、棚田を「癒しの場」として、「癒されに通ってくる」大人がふえ、棚田や地域への関心も高まってきている。
野草が見事に食べ尽くされた棚田は、導入から半年足らずの11月に、以前は見えなかった石垣がふたたび姿をあらわした。皆、ヤギの目に見える効果に驚き、喜んだという。
また、松谷集落の隣の集落の栗栽培農家が、栗園の下草刈りにヤギを導入したいと、子ヤギ3頭を引き取っていき、ヤギ活用の動きも広がりそうだ。
ヤギを中心に、地域活性化を!
ヤギのおかげで、「棚田を守ろう」という意識が高まり、守るだけでなく、球磨村PRのための資源として生かし、使っていこうという動きが出てきている。
また、隠れる茂みがなくなったらしく、「イノシシが出なくなった」という予想外の効果も、地元の人々を喜ばせている。(みんなの農業広場事務局)




