提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


清内路黄いも-「出づくり」文化で受け継がれてきた伝統野菜

2017年12月01日

特徴と由来

●長野県下伊那郡阿智村清内路

 「清内路黄(せいないじき)いも」は、小玉の短楕円形をしており、大きさは1個40g前後と、一般のバレイショより小さく、収量が少ないです。肉色は黄色で、ほっこりした食感と甘味があり、肉質は固く煮崩れがしにくいです。詳しい来歴は不明ですが、戦前から栽培しており、現在では清内路や隣接する木曽地域の食文化に根付いています。
 清内路では集落付近に畑が少なく、夏場に養蚕・山畑作りを行うため、山腹に耕地と住居をつくり、そこで生活をしながら農作業をしていた(「出づくり」と呼ばれる)歴史があります。現在では「出づくり」の家に住むことは少なくなりましたが、変わらず「出づくり畑」で耕作している農家が多く、「清内路黄いも」も山中にある畑で作られています。

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収穫した清内路黄いも

利用方法(食べ方)

 やや粘質で煮崩れしないことから、主に煮っ転がしにして食べます。他にも田楽や味噌和え、天ぷらにしてもおいしいです。小玉のため、皮をむかずそのまま料理することが多いようです。

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黄いもの煮っ転がし(左)と黄いものねぎ味噌和え(右)

産地の動向

 平成18年頃、管内で伝統的に栽培されている野菜種子の継承と保存を目的に「清内路伝統野菜研究会」が立ち上がり、長野県の「信州伝統野菜認定制度」により、平成20年には「信州の伝統野菜」として認定されました。
 清内路では種イモを4月末ごろに植えます。基本的に一般のバレイショと栽培方法は同じですが、茎数を5~6本に間引いています。
 収穫時期は一般的な「男爵薯」などよりやや遅い7月下旬~8月上旬で、毎年1.5tほど生産しています。大半が自家用ですが、一部は契約栽培で木曽に出荷しており、木地師のお祭り等にも供され、木曽の文化にも溶け込んでいます。8月中・下旬から直売所「清内路健康の森」で販売されており、阿智村清内路振興室で問い合わせに対応しています。

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山中に作られている黄いも畑

執筆者
北原茉依
長野県下伊那農業改良普及センター 技師

●月刊「技術と普及」平成28年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載