提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


4月、5月のブロッコリー2花蕾どり栽培

2017年01月13日

 4月収穫のブロッコリーは、年間で最も単価が高く、収益の得られる作型ですが、生育前半に厳寒期を経過するため、植物体が低温感応することによるボトニングや、花芽がなくなるブラインド等の生育障害を引き起こす可能性が高くなります。そこで、産地では生育障害を回避するため、おもにトンネル栽培が行われていますが、トンネル被覆に経費と手間がかかるため、栽培面積はそれほど多くありません。

 ブロッコリーは、品種により側花蕾も発生しますが、頂花蕾に比べ花蕾が小さく商品価値が劣るため、頂花蕾のみ収穫しているのが現状です。ところが近年、ある特定の品種を11月に露地定植すると、4月に頂花蕾が発生し、一部の株ではありますが、収穫約1カ月後に頂花蕾と遜色のない側花蕾が発生する現象がみられました。露地で高価格が期待できる4月に収穫ができ、さらに1株から2花蕾収穫することができれば所得向上と省力化につながります。今回、その事例を基に再現性があり安定したブロッコリー2花蕾どり技術を確立したので紹介します。


●2花蕾どりに適する品種
 品種については、8品種について検討した結果、低温に鈍感で、旺盛な側枝が発生し、2花蕾収穫が見込める品種として'グランドーム'(サカタのタネ)が適しているということが分かりました。
 一般的な品種では、定植時期が遅くなれば低温感応し、ボトニングが発生しやすくなります。また、頂花蕾を収穫した後には株が消耗してしまい、充実した側枝の発生は望めません。ところが、'グランドーム'は他品種に比較し、花芽形成の低温要求量が大きいため、定植時期が遅くてもボトニングの発生は少なく、4月に良質な頂花蕾が発生します。さらに、当品種は根が非常に強いため、頂花蕾収穫後も株の消耗が少なく、春に向けて気温も上昇してくるため旺盛な側枝が発生し、頂花蕾と遜色のない側花蕾が収穫できるものと思われます。


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頂花蕾の収穫跡(左)と側花蕾(右)


作型
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花蕾の様子。頂花蕾(左)と側花蕾(右)


●べたがけ栽培の検討
 ブロッコリーは気象の年次変動を受けやすく、寒い冬には生育異常の発生が多く、側花蕾が収穫できない場合があります。そこで、気象の影響を少なくし、側花蕾収穫の比率を高めるため、べたがけの検討を行いました。11月1日に'グランドーム'を定植し、12月中旬に追肥・土寄せをした後、不織布をべたがけし、3月上旬、頂花蕾が見え始めた頃に取り除きました。その結果、べたがけの有無による10a当たり換算収量は表1のとおりで、無被覆区では、頂花蕾が1,290kg、側花蕾が320kg、合計で1,610kgとなったのに対し、べたがけ被覆区では、頂花蕾が1,334kg、側花蕾が1,065kg、合計で2,399kgとなり、べたがけを行うことで、とくに側花蕾の増加が見られました。このことから、安定的に側花蕾を収穫するためには、不織布によるべたがけが有効であることが分かりました。


表1 べたがけ被覆と収量
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べたがけ被覆栽培において発生した側枝


●定植時期と栽培上の注意
 定植時期については、べたがけ区、無被覆区それぞれ11月5日、11月10日、11月15日と時期をずらして定植した結果、図1のとおり、頂花蕾は定植時期が遅くなるほど収穫時期も遅れる傾向となり、価格が高い4月上旬に頂花蕾を収穫するためには、11月10日前後の定植が適当と思われました。側花蕾は、すべての区で5月中旬からの収穫となりました。


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図1 定植時期と収穫時期


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頂花蕾(左)と側花蕾(右)


 充実した側枝を育て側花蕾収穫の比率を高めるためには、株間を約35cmと広めにとり、良質堆肥による土づくりを行った上、施肥量は一般的な量よりも1~2割多めに施用します。冬期の栽培となるため、病害虫の発生は少ないですが、べたがけを行うため、被覆内の湿度が高まり、圃場によっては菌核病が発生する場合があります。また、春先にはアオムシやアブラムシの発生が見られるので、防除が必要です。


 当技術は、徳島県石井町での圃場試験によるものであり、他地域では気候により定植時期が変わってきます。気候の年次変動によって収量が低下したり、生育障害が発生する場合もありますので注意が必要です。


執筆者
佐藤佳宏
徳島県立農林水産総合技術支援センター農産園芸研究課 上席研究員