提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ジャバラ-小さな村を支える伝説の果実

2016年03月10日

特徴と由来

 ジャバラは香酸カンキツの一種で、果実の重さは120~170g、表皮は油胞のくぼみが荒く、ユズと松ヤニに似た特有の香気があります。自家不和合の不完全な単為結果性で種子はありませんが、他のカンキツが近くに植栽されていると種子が入ります。樹勢は比較的強く、葉には翼葉があり、枝は立ちぎみでトゲはありません。花芽はつきやすく早い樹齢から着果します。北山村では5月中下旬頃に満開を迎えます。
 原産地の和歌山県北山村では江戸時代の頃からこの地で食されていたとされており、昭和54年11月種苗法により以前からこの地で呼ばれていた「じゃばら」の名称で品種登録されました。じゃばらの名前は「邪 (じゃ)」を「祓(はら)う」ところから名付けられたともいわれています。

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北山村原産の「じゃばら」

栽培方法

 収穫は10月下旬から始まり12月末までに終了します。すべて露地栽培で、樹形は開心自然形を基本に整枝・剪定されており、そのほかの管理はユズ等の香酸カンキツに準じます。

食べ方

 以前から果汁はポン酢の代わりに鍋物に、またこの地方で正月等冬期に食されているサンマずしなどに用いられています。近年では生果はもとより村の加工場で搾汁した果汁や果皮を用いた飲料をはじめ、菓子やアロマオイル等20品目以上の加工品が販売されています。

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ドリンクをはじめジャム、スイーツなどの食品からアロマオイルまで幅広い商品が製造・販売されている(Photo by 石川源)

産地の動向

 ジャバラが発見された北山村は、人口460人(平成26年6月末現在、住民基本台帳より)、周囲を三重県と奈良県に囲まれた「日本唯一の飛び地の村」であり、古くは良質の材木を産出し、その材木の運搬手段として筏を組んで川に流す筏師が多くいましたが、林業の衰退とともに激減しました。その後、「観光筏下り」として復活し、今では全国的に有名な観光資源となっています。
 ジャバラは村内で約8ha栽培されており、収穫した果実は「ジャバラ生産者協同組合」を通じて、村の加工場へ年間約100t出荷されています。平成13年にインターネットでの販売が始まり、ジャバラの花粉症抑制効果に関する消費者モニター調査結果が大きな話題となり、販売額が急激に増加しました。平成17年には独自の「じゃばら村直販サイト」の立ち上げや、平成19年には地域密着型のブログサイト「村ぶろ」を開設し、北山村の地域ブランド力向上につながりました。このような経緯を経て、平成10年に2498万であった販売額が平成22年には2億7592万と10倍以上となり、観光筏下りとともに村を支える産業の大きな柱の1つに成長しています。 
 しかし近年では、樹の老木化による幹腐病の多発や生産者の高齢化による管理不足等により生産が不安定となっています。今後も地域ブランドとして産地の維持拡大に向け役場、生産者組合と安定生産を目指して頑張っていきたいと思います。

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たくさんの花芽をつけるが、着果率は低い

執筆者
谷口正幸
和歌山県東牟婁振興局地域振興部農業振興課 主査

●月刊「技術と普及」平成26年9月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載