提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


へべすー"クセがないのにくせになる"日向特産の木酢

2016年03月08日

由来と特徴(機能性)

 「へべす」(Citrus heibei hort. ex. hatano)は、宮崎県日向地域で古くから栽培されている香酸カンキツです。名前は、江戸末期に日向市の長宗我部(ちょうそかべ)一族の平兵衛(へいべえ)さんが原木を栽培していたことに由来します。当時は婚礼の習わしとして、嫁ぎ先に苗木を持たせ、果実が結実するようになると、料理の隠し味として使っていたと伝えられています。
 果実は、果皮色が鮮やかな緑色、果径が45mm前後で、同じ香酸カンキツ類のスダチより大きくカボスより小さいです。また、果皮が薄く、種も少なく、果汁が豊富であり、食味はさわやかな香りとまろやかな酸味があります。消費者からも「他の香酸カンキツと比較しても使いやすい」と好評です。
 さらに、果実中には機能性成分のナツダイダイン(フラボノイドの1種)が豊富であり、ユズの約37倍も多く含まれています(果実日本2003年6月号記載)。

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宮崎の香酸カンキツ在来品種「へべす」

栽培方法

 作型は、ハウス栽培(出荷時期6~7月)と露地栽培(出荷時期8~10月)です。収量向上が産地の課題となっており、JAの営農指導員と協力して、年に5~6回、集落ごとに講習会を行い、適期剪定や新梢管理、かいよう病対策等について現場で直接指導を行っています。

食べ方

 さわやかな香りとまろやかな酸味を活かし、果実の輪切りを焼酎に入れたり、果汁を焼き魚や冷や汁(宮崎の郷土料理)に入れる等、さまざまな活用がされています。口当たりが良いことから、地元では「クセがないのにくせになる」と評判で、昔から食卓に欠かせない食材です。

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焼き魚、地鶏、ゼリー等、さまざまな料理に活用される

産地の動向

 「へべす」の生産振興を図るため、昭和56年に日向市平兵衛酢振興会が発足し、平成26年3月現在、部会員70名で栽培面積は約18haです。また、平成23年には「日向のへべす消費拡大プロジェクト会議」が発足し、生産者、日向市、JA、普及センター等の関係機関が連携して生産振興や販売対策についてさまざまな検討を行っています。

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地域イベントで活動するへべす生産者の皆さん

 これまでの取り組みとしては、講習会等を通じた生産指導や食品産業マッチング会への参加に向けた規格書作成支援、CMや祭りを通じた販促活動等さまざまです。その成果として、「宮崎へべすのおいしいお酒(リキュール)」や「アロマオイル」等、多くの新商品が開発され、取り扱い店舗も増えてきています。

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開発された「へべすリキュール」

 近年、関係機関などが一体となり、「へべす」の商品開発や消費拡大の取り組みを進めていることから、生産者の生産意欲が高まり、部会員数は増加傾向、生産基盤も拡大してきています。
 しかしながら、宮崎県内でのへべす消費量は、まだまだユズやカボスに比べて少ないため、まずは宮崎県内での消費拡大に努め、地元に愛される食材として定着した上で、県外への消費拡大に発展させる取り組みを進めていきます。

執筆者
濵砂裕則
宮崎県東臼杵農林振興局農業経営課 技師

●月刊「技術と普及」平成26年9月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載