提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


聖護院だいこん-京の冬を代表する京野菜

2014年05月19日

京の伝統野菜とダイコン

●栽培地域 :京都府全域 

 京都府では、明治以前からの導入の歴史がある「九条ねぎ」「みず菜」「賀茂なす」といった37品目の野菜を京の伝統野菜に指定しています。
 その中でも、ダイコンは「聖護院だいこん」「辛味だいこん」「青味だいこん」「時無(ときなし)だいこん」「桃山だいこん」「茎だいこん」「佐波賀(さばが)だいこん」「郡(こおり)だいこん」の8品目があり、そのうち絶滅した「郡だいこん」を除けば、7品目が現存しています。
 「聖護院だいこん」は、それらダイコンの中でも、最も栽培が盛んで、京の伝統野菜の代表的存在でもあります。

特徴と由来

 聖護院だいこんは、直径20cm、重さ4kg以上にもなる丸形の大型ダイコンで、美しい白い肌と肉質の緻密さが特徴です。

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聖護院だいこん
(提供:(公社)京のふるさと産品協会)


 聖護院だいこんの栽培の始まりは、江戸時代も終わりに近い文政年間(1818~30年)に、尾張の国から黒谷の金戒光明寺に2本の長ダイコンが奉納されました。たまたま、聖護院(京都市左京区)に住む田中屋喜兵衛という篤農家がこれを見て、その当時、聖護院地区で栽培されていたダイコンよりはるかに大きく、非常に立派だったことに驚きました。そして懇意であった門主から頼んでもらい受け、聖護院の自分の畑で採種を続け、栽培を続けていくうちに、細長いダイコンの中に短形のものが出てきました。その中から、太くて短い形のものを選んで採種を行い、栽培を続けていくうちに、とうとう丸形の固定した品種が育成されました。
 このダイコンは、当時栽培されていたダイコンより品質が良く、耕土の浅い土地での栽培にも適する等の優れた特性を持っていたことから、聖護院一帯で急激に栽培が広がり、「聖護院だいこん」という名で、京都各地で栽培されるようになりました。

 昭和初期になると、京都市の南にある御牧村淀地区(現:久御山町付近)での栽培が盛んになり、品質の良い聖護院だいこんが収穫されたことから、特に、この地区で収穫される聖護院だいこんは、今でも淀大根として親しまれています。
 また、毎年12月7日・8日千本釈迦堂で行われる大根焚(だいこだき)は有名です。聖護院だいこんに梵字を書き、加持祈祷が行われた後、大釜で炊かれ、参拝者に授けられます。これを食べると無病息災で過ごせるといわれ、毎年多くの参拝者が訪れます。

栽培方法

 8月下旬から9月にかけて播種し、10月下旬から3月にかけて2kg前後で収穫します。
 収穫後、洗場の冷たい水で丁寧に洗うことで、その白く美しい肌が一段と際立つ、洗場に積まれた聖護院だいこんの美しさは壮観です。

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聖護院だいこんの収穫
(提供:(公社)京のふるさと産品協会)

食べ方

 苦み、辛味がなく、ほんのりとした甘みが特徴です。
 肉質が緻密であることから、長時間じっくり煮炊きしても煮くずれせず、味が芯まで染み込み、口の中に入れた時のとろけるようなやわらかさは、おでんにして食べると絶品です。
 また、ふろふきだいこんやぶりだいこんといった煮物、揚げ出しだいこんにしても、とてもおいしく食べることができます。

産地の動向

 現在では、京都市、山城地域、南丹地域、丹後地域とほぼ府内全域で栽培が行われており、京のブランド産品として京阪神をはじめ、首都圏への出荷も増加しています。まさに聖護院だいこんは、京の冬を代表する京野菜です。

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聖護院だいこんの出荷調整
(提供:(公社)京のふるさと産品協会)

執筆者 佐藤 隆司
京都府農林水産部流通・ブランド戦略課 農業革新支援専門員

●月刊「技術と普及」平成24年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載