提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


やきなす-とろりとした食感の門外不出のジャンボナス

2014年05月15日

由来と特徴

●栽培地域 :新潟市北区木崎地区

 「やきなす」は、新潟市北区木崎地区だけで生産されており、地元で採った種子をまいて栽培する、門外不出の地場特産物です。
 大きさは最大で約30cmくらい、重さは約300gにもなります。このジャンボナスは、文字通り焼いたり蒸したりして食べる専用の品種です。ふっくらとした果実の先がとがることが特徴の通称「鉛筆なす」を昭和30年代に自家採種によって大きいものだけを残し、その種子で栽培したナスを焼いてたべたらおいしかったということから「やきなす」と命名されました。
 果実は、黒紫色の濃い色ではなく、むしろ真夏の収穫最盛期になると赤紫に近い色になり、外観はあまりよくありません。しかし、焼きなすとしての味は絶品で、甘くとろりとした食感が特徴の、新潟市周辺ではおなじみのナスです。

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先がとがっていることが特徴の「やきなす」

栽培方法

 前年採種した種子を1月下旬頃に育苗センターで播種し、約20日間で生産者に届けられます。その後、育苗管理や接ぎ木をして苗床で着果した苗を5月の連休前後に定植し、トンネルマルチ栽培を行います。
 「やきなす」は開帳性で枝の伸長が短いため、支柱とサイドテープで枝が折れないようにしています。また、定植後1カ月ほどでワラ敷きを実施します。
 収穫は、5月下旬から始まり最盛期が6月中旬から8月下旬くらいまでで、台風や自然災害の影響がなければ10月まで出荷します。
 「やきなす」は病気に弱く、また果実がやわらかく強風で傷がついてしまうため、栽培には細心の注意を払っています。

食べ方

 焼く前に、包丁でへたの周りと縦に浅く切り込みを入れておき、網に乗せて強火で一気に焼き上げます。
 焼き上がったら、切り込み口から皮を剥いて適当な大きさに切って盛りつけ、生姜醤油で食べるのがシンプルで最もおいしい食べ方です。

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シンプルな焼きなすが、甘くとろりとした食感で絶品

産地の動向

 エコファーマーに登録している7名の農家が約2haの面積で栽培を行っています。
 ナスの圃場の周りにソルゴーを栽培し、風や害虫などからナスを守る障壁栽培や、フェロモントラップを各圃場に設置し、害虫の発生状況を確認しながら適期適用の薬剤を使用して農薬の使用回数を軽減するなどしています。
 外観より中味にこだわるこの伝統野菜は、消費宣伝で味を覚えてもらうことも大切なため、平成18年に新潟市の園芸銘産品に指定されています。

執筆者
後藤 豊
新潟県農業総合研究所園芸研究センター 育種栽培科長
(前新潟県農林水産部経営普及課 専門技術指導担当)  

●月刊「技術と普及」平成25年6月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載