提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


とっくり大根-「とっくり沢庵」の名で、地元量販店を中心に人気

2014年04月28日

由来と特徴

●栽培地域:山口県徳山・新南陽地域

●由来
dento_daikon_yamaguchi1.jpg 「とっくり大根」は、山口県の瀬戸内沿岸にある徳山・新南陽地域で漬物用として栽培されてきたダイコンです。
 栽培の始まりは定かではありませんが、100年以上の歴史が確認されており、明治時代から昭和の初期にかけて、このダイコンを漬物にした「徳山沢庵粕漬」が京阪神や関東をはじめ、全国各地に広く出荷されていました。
 収穫後の乾燥は、柿の木に吊して乾かす方法が今も続いており、この風景はこの地域の風物詩になっています。
 現在では、周南市福川の羽島・かせ河原町・中綴(なかなわて)町の数戸の農家が段々畑で生産を続けています。
右 :とっくり大根

●特徴
 根形がとっくりの形をした小型のダイコンで、首部の直径が1.5~2.0cm程度と細く、尻太で、最大部の根径は6~8cm、根長は13~17cm、根重400~500g前後が一般的な大きさです。
 他の地区で栽培すると、なかなかとっくり型にならないといわれています。

栽培方法

 播種時期は秋の彼岸頃が適期とされます。早すぎると病害虫や台風の被害を受けやすく、遅いと根の太りが充分でなく、とっくり型にならなかったり抽苔したりします。
 圃場の幅に合わせて120~180cmの畝をたて、畝と直角の向きに、条間30~50cmで種をすじ蒔きします。子葉時、本葉3 枚時、本葉5枚時に随時間引き、最終的に株間を12~18cm程度にし、栽植株数を1200~1300株/aにします。

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 条間や株間を広げると根は大きくなりますが、割れが多くなったり、とっくり型をしたものが少なくなったりします。
 首が細いため、最終の間引き後に、株元に土を寄せ、とっくりの首が曲がらないようにします。
 収穫は12月の上中旬(播種後70~80日)に行います。大きさの目安は、とっくり3合びん程度です。
 収穫後10~20日間、柿の木などに掛けて天日干しにします。

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乾燥風景

食べ方

 とっくり大根で作る"とっくり沢庵"は、「昔ながらの味わいで、懐かしい味」「歯切れが良い」「酸味と甘みがちょうど良い」など、消費者から高評価を得ています。

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加工風景

 乾燥させたダイコンを隙間なく樽の中に並べ、ぬかに漬け込みます。樽の上部に十分な量のぬかを置き、ビニール袋で密封することにより、ダイコンが空気に触れず、黒ずみのないきれいな色に仕上がります。漬け込み後、1~2カ月後に水抜きをします。この水抜きにより歯切れが良いものとなります。
 9カ月~1年間と通常の沢庵よりは長く漬け込むことにより酸味が出てきます。

産地の動向

 地産地消の取り組みが進む中、地域の伝統野菜「とっくり大根」の復活と地域特産品「とっくり沢庵」の商品力強化を目指して、平成12年に「とっくり大根生産グループ」が結成されました。
現在では、採種・栽培・加工・販売の一連の体制が整備されています。 

「採種」
 各圃場から「とっくり大根」本来の形をしたものを選抜し、共同採種圃で管理・採種しています。

「栽培」
 播種時期、栽植密度、施肥・防除資材を統一し、栽培基準を作成しました。現在、4戸の生産者が35a栽培しています。

「加工」
dento_daikon_yamaguchi4.jpg 加工方法の検討・試作を重ねるとともに、試食会や消費者アンケートを実施し、商品の改善に取り組んできました。
 また、共同加工により、均質な製品を製造することが可能になり、量販店との相対取引が進みました。

「販売」
 9月頃から「とっくり沢庵」のブランドで、地元量販店で販売され、毎年、販売開始時にはグループ員が店頭に立って試食販売を実施しています。
右 :「とっくり沢庵」

執筆者
朝山哲也
山口県周南農林事務所農業部担い手支援課

●月刊「技術と普及」平成24年12月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載