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JA、山梨県、加工品開発者がコラボ! 名産のフルーツを使ったスイーツ作り

2018年4月 3日

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角田美座子さん (山梨県笛吹市 プチ・プラム)


 モモやブドウをはじめ、フルーツ栽培がさかんな山梨県笛吹市。角田美座子(みさこ)さんが代表を務めるプチ・プラムでは、地域や県のサポート体制のもと、これらのフルーツを使って、ゼリーやプリンなどのスイーツを作り、県内外で好評を博している。加工品の製造には、JAふえふきが原材料の供給と販売で協力。また、県がプロジェクトを立ち上げて推進する農産加工品の開発を、峡東地域普及センター(山梨県峡東農務事務所)が窓口となって、プチ・プラムを支援している。


地域のJAが原料の調達と販路の拡大をバックアップ
 モモやブドウ、スモモの産地で有名な笛吹市は、山梨県の中央に位置する。この地の出身である角田美座子さんが、これらのフルーツを利用して商品開発を始めたのは、「農家の手伝いをした時に、規格外で出荷できないモモが捨てられている現状を知った」のが、きっかけだったと言う。「規格外のモモも、収穫まで手間も時間もかけられているにもかかわらず、味も劣っていないのに食べてもらえない。それがもったいなくて、どうにか活用したいと思いました。知り合いにゼリーを製造している人がいたので、工場へ出向き、作り方を教えてもらいました」。そうして角田さんは、初めて「生桃ジュレ」を商品化。モモとスモモを使ったゼリーは売れ行きが好調で、すぐに原料が足りなくなった。そこで、地域の農協に相談に行ったところ、原料調達の快諾を得ると同時に、商品の販売も協力してもらえることになった。


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左 :日本一のモモとぶどうの生産量を誇る笛吹市
右 :素材のおいしさを活かしたプチ・プラムの商品


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左 :モモとスモモを使用し、3層に仕上げた「生桃ジュレ」
右 :果実の形を残したプレザーブスタイルのジャム


 「JAふえふきでは、地域に数ヵ所の共選所をもっているので、そこから原料を供給できます。角田さんには、笛吹産のモモやブドウで加工品を作ってもらい、それを直売店や量販店など、私たちがもつさまざまなルートで販売することにしました」と、JAふえふき指導販売部部長の水上一徳さんは語る。


商品開発の支援をする県のプロジェクトに参加
 さらに、山梨県が推進する「美味しい甲斐開発プロジェクト」も、角田さんの加工品開発をサポート。このプロジェクトは、山梨県の農業をさらに発展させていくために、消費者のニーズに対応した商品の開発を支援するもので、平成23年度に発足した。峡東地域普及センターの働きかけにより、プチ・プラムもプロジェクトに参加している。「東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生が農政アドバイザーを務め、試食会などを通して、商品の企画や開発の助言を行っています。そして、県の認定を受けた商品を山梨ブランドとして、県内外に販路を拡大していくことをめざしています」と、普及センターの横内京子主任は説明する。


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左 :開発中のもろこしプリンを試食する小泉武夫先生(写真中央)
右 :笛吹産のモモとトウモロコシをふんだんに使ったプリン


 このような支援のもと、角田さんは、地元のフルーツを使った加工品を次々と生み出していった。近年、開発したのは、トウモロコシを使った「もろこしプリン」。笛吹市は、モモやブドウと並行して、トウモロコシの栽培もさかんな地域であり、原料は、同じくJAふえふきから調達している。「最初に小泉先生に試食してもらいました。使用しているトウモロコシはゴールドラッシュという糖度の高い品種で、先生には『素材自体が十分に甘くおいしいので、砂糖を減らしてもいいのでは』と、アドバイスを受けました」と角田さん。こうして完成したもろこしプリンは、モモやブドウのプリンよりも砂糖の量は少ないものの、ゴールドラッシュの濃厚な甘さが引き立つ味わいに仕上がった。


農産加工品の開発が農業の安定的な発展へ
201802_yokogao_pp_1.jpg「モモやブドウ、トウモロコシなどは、年間を通しての出荷はできないので、加工品を製造していくことは、農業の安定的な発展のためにも必要です」と、JAふえふきの水上部長は言う。昨年、農協では、プチ・プラムの商品を含む農産加工品を、台湾やマレーシア、香港などの海外でも紹介したそうだ。「山梨県のモモやブドウは、国内でも海外でも評判がよい。今後は生食だけでなく、加工品でもブランド化をめざしたい。そのためにも、素材の良質な味や食感を活かしたり、健康ブームに沿って無添加にこだわるなどして、消費者のニーズにこたえる商品を作る必要があります。また、高級感のあるものと、一般的なものの両方を揃えていくのも、販売拡大につながると考えています」。
右 :チームで加工品作り。左からJAふえふきの水上一徳さん、角田美座子さん、峡東地域普及センターの横内京子さん


 「美味しい甲斐開発プロジェクト」では、東京で開発商品商談会を開くなど、さまざまな場所で農産加工品のPRを行っている。「個々の農家が販路を広げるには、労力がいります。また、商品の開発や製造も、本業のほうが忙しいため、時間的な制約があります。プチ・プラムのように、商品開発者とコラボをするのは、とても良い方法だと思います。JAが原料の調達と販売を、県が商品開発を支援し、チームワークで山梨ブランドの加工品を拡大する。これからも、こうした新しい6次産業化の取り組みを支援し、広めていきたい」と、普及センターの横内さん。


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左 :東京で行われた商談会で、プチ・プラムを含む山梨県の農産加工品を紹介
右 :展示会のJAふえふきのブースで、商品をPRする角田さん


よりおいしいスイーツを開発して、売上向上をめざす
 現在、プチ・プラムの従業員は、角田さんを含め7人。年間の売上高は約3000万円を計上している。「最近、シャインマスカットの加工品を試作していますが、繊細な香りを残すのが難しく、まだ満足のいくものができません」と、新たな商品を考えている角田さん。東京の大手百貨店からも、「山梨らしいスイーツを考えてほしい」と声がかかっていると言う。「売価は気にしなくていいのでおいしいものを、と言われています。簡単に作れるものではありませんが、味にとことんこだわることができ、挑戦しがいがあります。商品化したら、JAの生食のフルーツも一緒にアピールできます」。


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JAふえふきのキャラクター 笛吹童子(もも)と笛吹童子(もろこし)


 一方で角田さんは、一般の人に「飽きのこない味」と食べ続けてもらえる商品も作っていきたいと話す。「商品の種類を増やすことも必要ですが、1つの商品をグレードアップすることも大切。最初に開発した『生桃ジュレ』は、もっと桃の風味を活かせるように改良したい。そのために、性能の良いフリーザーを購入するなど、設備投資をしていかなくてはいけません。笛吹産のフルーツのおいしさを残せるように、技術で補いながら、よりおいしい商品を開発する。それが売上へとつながっていけばいいですね」。地域や県の協力体制のもと、角田さんの挑戦は続く。(ライター 北野知美 平成28年12月15日取材 協力:JAふえふき指導販売部、山梨県峡東地域普及センター(峡東農務事務所農業農村支援課))
●月刊「技術と普及」平成29年3月号(全国農業改良普及支援協会発行)から転載


プチ・プラム
<本社>山梨県笛吹市八代町岡691
<工場>山梨県笛吹市境川町寺尾3130
TEL 055-267-8880