提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


障害者と健常者が一緒に働く農園は笑顔がいっぱい!

2009年12月22日

200912_suzuki_01.jpg
鈴木厚志さんと妻の緑さん(京丸園(株)・静岡県浜松市)


 鈴木厚志さん(45)が代表取締役をつとめる京丸園(株)は、静岡県浜松市であいがも農法のお米、水耕みつば・姫ねぎ・姫ちんげんさい、土耕とまとなどを生産出荷している。本年9月第6期の決算では、2.4億円を売り上げた。13年前から障害者を職場に受け入れ、経営を伸ばしている。


 障害者雇用のきっかけは、求人に障害者が応募してきたこと。「働く場がほしい」「給料は要らない」「親が付き添っても良いから」と訴えられ、決心した。受け入れてみると、予想外なことに、職場の雰囲気が良くなったという。皆がやさしくなり、全体の作業効率が上がった。経営も年々伸びている。

 現在、従業員60名(役員4、社員7、パート49)のうち22名が障害者(知的4、身体3、精神14、高次脳1)だが、鈴木さんは言う。「ボランティアでなく、彼らをビジネスパートナーとして受け入れることで、自分が作りたかった農園を作れるようになった」。
「NPOしずおかユニバーサル園芸ネットワーク」の事務局長も務めている鈴木さんに、経営として成り立つ障害者就労の取組みや、農業と福祉の連携について、伺った。


心耕部を作り、障害者を配属
200912_suzuki_02.jpg 京丸園には水耕部、土耕部、心耕部の3つの部がある。障害者は心耕部に属し、同じ部の社員が彼らをサポートする。文字通り「心を耕す」部で、人に合わせた働き方を作り出すところである。

 障害者は、できる仕事に個人差が大きい。各自の都合や能力に合わせた働きかたができるように、「どういう働き方をしたいか」を本人に尋ねる。そして、各自に合わせた作業内容と環境を用意する。
右 :京丸園で働く方々


 たとえば、掃除しかできない障害者には、終日ハウス内の掃除をしてもらう。常に掃除が行き届いた状態のハウス内では、病害虫が減ったという。水耕栽培の野菜に付く虫を駆除する機械(扇風機で虫を吸い込む仕組み)は、オペレーターとして2、3歩歩いては立ち止まる障害者が適任だそうだ。また、集団に入ることが苦手な障害者には、ひとりで仕事ができる場所を用意している。

 ひとりひとりに合わせると同時に、仕事を単純化した結果、「誰でもできる」やり方が生み出されてきた。たとえば、野菜の苗を植え込む作業は指2本でつまめ、植え込めるようになっている。この栽培システムは、健常者にとってもプラスになるものだ。


他機関との連携の仕組みをつくる

 浜松市には企業、農業、福祉が連携して、地域や農業の活性化につなげるしくみがあり、注目を集めている。京丸園では、障害者の直接雇用はしない。中間組織を通して、交渉ごとや雇用を行っている。
「農業と福祉が連携することで、地域を活性化することができる。それぞれがノウハウを持ち寄り、行政がつなぎ役となればよい。うまく企業の力も利用することです」と鈴木さん。


 京丸園では、だれでもが働ける「ユニバーサル農園」を目指している。半年前まで93歳の人が働いていたというから、驚きだ。また、同社では、農業ジョブコーチの育成などにも取り組んでいる。先駆的な経営から学ぶことは多い。(水越園子 セミナー「農業と福祉のいい関係!~京丸園における障害者就労の取組みと地域連携~」平成21年12月9日)


●京丸園(株) ホームページ
●NPOしずおかユニバーサル園芸ネットワーク ホームページ