提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


先を読む経営と実行力で、着実に規模を拡大

2009年10月14日

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白鳥一彦さん(宮城県栗原市 白鳥農場・宮城米米サービス)


 宮城県栗原市志波姫で白鳥農場を営む白鳥一彦さん(54)。栗原市志波姫は、名峰栗駒山を望む穀倉地帯で、1800haの農地で1200戸の農家が米作りを中心に農業に従事する、農業の盛んな地域である。

 白鳥さんは、水稲30ha、転作大豆30ha(うち自作地4ha)を妻・益子さん(52)、長男・一徳さん(29)の家族3人と、常時雇用1.5人(平均)で経営する。
 出荷は全量直接取引をし、秋作業(コンバイン刈りと乾燥調製)20haを受託するなど、精力的に農業に取り組んでいる。今年7月宮崎市で行われた第58回農業コンクールで、優秀賞とクボタ賞を受賞された。


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 :コンバインで収穫作業をする一徳さん /  :白鳥農場看板


特別栽培米を全量直接販売
 白鳥さんは県高等農業研修所(現農業大学校)を卒業後、昭和49年に就農した。当時の経営は水田3.3haと母豚2頭の養豚繁殖経営。減反が始まった頃で土地の動きはほとんど無かったが、将来的に水田の規模拡大を目指そうと思い定めていた。約20年前、経営委譲をきっかけに養豚をやめ、本格的に水田の規模拡大をめざした。


 米の売り方も考えた。特別栽培米制度を勉強し、地区の4名で平成3年に直接販売をスタート。50a分の米から始めた直売はマスコミに取り上げられ、問い合わせや申し込みが相次いだ。平成5年の米不作以降は、毎年全量直接販売のみ。首都圏の米販売店が販売先の中心だが、個人や外食産業にもリピーターがたくさんいる。
 乾燥調製は、自己資金で作ったライスセンターで行う。作業受託も行っており、取材当日は、地域の農家から次々と収穫されたイネ籾が運び込まれていた。


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 :ライスセンター /  :神奈川県内の米屋さんで売られている白鳥さんのお米


条件のよい圃場で大豆を作る
 「米をたくさん作りたい」白鳥さんは、初め転作には消極的参加だったというが、平成14年、当時28haのうち7haの転作に踏み切った。それ以降、自分の土地を核にして、地域で集団転作の話をまとめながら規模拡大を進めてきた。


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 :今日は月2回の個人向け宅配作業の日。これから配送作業をする
 :個人向け5kgの包装
 


 白鳥さんの大豆の収量は、平均180kg/ha。地区の収量を大きく上回る。品質良く、収量も多い大豆栽培の秘訣はなにか。「大豆は条件の良い圃場で作ります。米に比べ、大豆は中耕、防除等の作業で田に入ることが多い。だから、大圃場で乾燥しているところを充てます」

 種子用の大豆も生産する。30haのうち7.5ha分で、全量を農協へ販売する。また、地域では個人初だった大豆の調製センターを4年前に作り、乾燥調製作業を一手に引き受ける。大豆収穫後、11月から2月いっぱいまでの4カ月ほど、フル稼働が続く。


限りない規模拡大をめざす
200910_siratori_107.jpg 乾田直播、鉄コーティングにも取り組む。「(今年は)鉄コーティングはうまくいったが、乾田直播の発芽率が良くなかった。今後取り組んでみたい」という。将来を見据え、省力技術のひとつとしての選択だ。
 最近、圃場のさらなる整備のため、レーザーレベラーと100馬力を超えるトラクタを購入した。必要な機械は計画的に導入し、機械の整備も怠らない。整備場には、農業機械用の工具がずらりとならんでいる。
右 :元豚舎を利用した整備場


 家族労働が中心の経営だが、規模をさらに大きくするには、今以上の雇用も必要となる。米、大豆、作業受託に加えた次の品目にも取り組みたいが、「野菜や果樹などもいいですね。でも忙しくてなかなか」と笑う。米の輸出も白鳥さんの視野に入っているが、「これから勉強したい。後は息子に託します」
 長男の一徳さんは、大学卒業後すぐに就農し、今年で7年目。今では頼りになる働き手だ。そんな一徳さんへの白鳥さんの注文は「早く結婚して家庭を持ってもらいたい」。父親としての顔がのぞく。


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 :一徳さんと、作業を手伝う研修中の県立農業大学校生柴田まり子さん
 :志波姫地区らしい風景。晴れた日には正面に栗駒山を臨む


 白鳥さんは代々続く農家の9代目だ。広い敷地には、築150年を超える母屋をはじめ、10棟ほどの建物がある。米、大豆の乾燥調製施設や育苗ハウスなどとともに、資材の保管棟や、父一正さん(80)の水墨画用アトリエなどとして、古い建物を上手に利用している。合理的な農業経営者としての一面と、先祖から引き継いだものを大切に扱う心を持ち、白鳥さんは限りない規模拡大をめざす。(水越園子 平成21年10月1日取材)


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