提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


土耕栽培と減農薬をめざすガーベラ栽培で、消費者に夢をはこぶ

2007年08月03日

田中時也さん、えみさん TOKIYA GERBERA(愛知県田原市)

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 愛知県田原市は全国有数の農業生産地帯・渥美半島に位置し、大消費地東京、大阪、名古屋に近く、自然条件にも恵まれた地域だ。昭和43年の豊川用水通水によって、花きや青果の施設園芸、露地野菜の大産地として発展してきた。


 田中時也さん(44)、えみさん(43)夫妻が経営するTOKIYA GERBERAは、ガーベラの栽培と販売をおこなっている。温室4棟・計4000㎡で、30品種ほどの栽培をてがける。大部分が市場出荷だが、HPによる直売が全体の5%ほどに伸びてきた。認定農業者である時也さん、えみさん、母のハツ子さんの家族3名と、出荷調製作業の週3日のパート2名(繁忙期に+1名)が働く。


 時也さんは高校卒業とともに就農し、後継者資金で暖房付き鉄骨ハウスを建て、トマト、メロンの施設栽培をはじめた。就農12年目にガーベラ栽培に転換。以来、独自の栽培方法でガーベラを育ててきた。


yokogao200707_4.jpg 点滴土耕、そして有機栽培が時也さんのこだわりだ。

 「ガーベラは食べるものではありませんが、農薬は最低限にしたい。花のためにも、人のためにも、です。施設の中で使えば、当然働く人間にもかえってきます」「花は、見て、癒しを感じるものだから、その花にストレスを与えない作り方をしたい」「ロックウール培地は、使い終わると全部ゴミになる。大量のごみを出すことには抵抗があります。それに、花は土で育つのが自然な姿でしょう」。


 土壌消毒も10年前を最後にやめた。「土壌消毒をしても枯れたんです。だから、しない選択をしました。その後連作障害は一度もでません。消毒の代わりに、土壌のバランスをよくしそうな資材をいろいろ試して使っています。」と、花のためにいいと思えば、お金も手間も惜しまない時也さん。実にいろいろな資材を試し続けてきた。

 2年に一回、苗の植え替えをおこなうが、10aの土作り、畦立てに1カ月かける。「納得するまで土作りです。ある意味楽しみです」植え替え前の花の状態を思い浮かべつつ、肥料や量を変えながら「花のベッド」を整えていく。

 ハウス内の設備も、よさそうなことは、何でもやってみる。


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 夏場は循環扇、そして二重カーテン(シルバー)で遮光した上で、細霧冷房をする。5度くらい気温が瞬時に下がる。また、家族が飲む水と同じ活水器を通した水を使い、夏は酸素ボンベで水の中に酸素を補って灌水する。冬は地温水(わかして20度くらい)をドリップチューブで流す。

 こうして育てるガーベラは1年中咲き続ける。中でも2月末から5月が最盛期で、この間は毎日収穫作業が続く。それ以外の時期は、週3日開かれる花市場に合わせて、その前日が収穫調製作業となる。


yokogao200707_2.jpg 収穫は、手で一本一本引っ張って抜き取るようにし、調製は花びら部分に一本ずつキャップをかぶせるという、全くの手作業だ。続いて茎の長さによって分け、10本ずつの束にし、50本をセロファンで包む。「ほとんど家内手工業の世界です」とえみさんは笑う。

 ここで初めて水につけ(前述のこだわり活水)、保冷庫で一晩水揚げし、出荷する。田中さんのガーベラは、(水耕栽培のものと比べて)花持ちがよいと評判だ。

 えみさんは非農家の出身で、子育てと仕事の両立に悩んだ時期もあった。「栽培は(時也さんに)お任せで、パート雇用、経理は私、収穫と出荷調製は全員でやります。ガーベラを栽培するようになって、自然に分担ができて、私自身、子育てと仕事のバランスがうまくとれるようになってきました。」


 HPはえみさんの担当だ。旧渥美町で開かれたIT講習をきっかけに、2004年9月に立ち上げた。HPを開設してよかったのは、全国の農家のHPを見て、みんなががんばっているとわかったこと、いろいろな出会いがありいろいろなつながりができること、ネット直売も含めてネット上でやりとりすることで、ヒントやアイデア、消費者のニーズをつかめるようになったこと、などたくさんある。ブーケに使うガーベラ以外の花材も、試作中だそうだ。


yokogao200707_6.jpg 家族は夫婦とお子さん5人、に恵まれた。長女は働いており、末っ子は5歳。5人の名前には、全部「日」の付く漢字が含まれる。「我が家はお日様の恩恵を受けて農業をしていますから」、という明るく賑やかな家庭だ。


 「花でIPMをやってみたい」(時也さん)、「敷地に実のなる木を植えて、加工にも挑戦し、人の集まる場所を作りたい」(えみさん)と話してくれた田中さんご夫妻。「土づくり」という原点に返っての花作りが、文字通り大きな花を咲かせる日を楽しみにしたい。(水越園子 2007年7月18日取材)


 TOKIYA GERBERA ホームページ ※こだわりのガーベラ栽培がよくわかります


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