提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


子供たちに農業体験を! 

2007年04月27日

門倉麻紀子さん(神奈川県横浜市)

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「親子で土に触れる楽しさを知ってほしい」。農業体験教室への思いを語ってくれた門倉麻紀子さん(42)を、神奈川県横浜市戸塚区名瀬町に訪ねた。


大都市で兼業農業を営む
kadokura_hatake1.jpg 横須賀線東戸塚駅から車で10分ほど、マンションや一戸建てに囲まれた高台に広がる農地では、本格的に路地野菜の植え付けが始まるところだ。隣では、摘み取り農園をめざし2年前に植えたブルーベリーの苗が大きく育ちつつある。

 北海道に生まれサラリーマン家庭で育った麻紀子さんは、東京で短大を卒業し日本航空の国際線スチュワーデスとして勤務した後、章治(しょうじ)さん(45)と16年前に結婚した。
右 :住宅に囲まれた畑


 門倉家18代目にあたる義父章夫さん(78)がゴルフクラブの経営を始めて、現在は畑約2haに柿、ミカン、ブルーベリー、梅、いちじく等の果樹経営と、直売向けに珍しい野菜も試しながら30品目以上の野菜を露地で栽培している。


blueberry2.jpg 朝収穫したばかりの野菜はすぐにゴルフクラブのフロントに並べられ、スクールに通ってくる女性を中心としたお客さんに「取れたてで新鮮、おいしい」と評判だ。
摘み取り農園をめざし2年前に植えたブルーベリーの苗が大きく育ちつつある。

 袋詰め作業を手伝うくらいだった麻紀子さんは、お子さんが小学生になってから圃場での仕事もするようになった。「初めは種蒔きもむつかしかった。ここ数年は自分で作付け、肥培管理もやっています。だんだん、こういう野菜を作ってみたい、自分でも食べてみたい、という気持ちが出てきました」という。

 現在はご両親(章夫さんと義母百合さん(75))と麻紀子さんの3人が農業をし、忙繁期に章治さんが農業機械を使った作業等を行っている。
左 :摘み取り園をめざして育成中のブルーベリーの苗木


農業体験受け入れに思うこと
 お子さんが幼稚園に通っていた時期、畑の作物を「掘ってみたい」「もぎとってみたい」という園児の声を耳にした。自身の体験も思いだし、「子供のときの体験を通じて、収穫の喜びや満足感、ものを大切にする心がはぐくまれ、その気持ちが一生の宝になる」との思いを強くした。

 保育園児のいも掘りの受け入れや、近隣農家2軒と共同で行ったアグリツアーなど、農業体験の受け入れを始めている麻紀子さんが痛感しているのが、ボランティアでなく「経営として成り立つ農業体験のあり方」だ。

 農地・環境保全への農家の貢献も含め、農家の話や体験時に過ごした楽しかった時間に対しての授業料のような形で、農業体験をしてもらえないか。農業体験と社会や地域への貢献が同時に成り立つような農業の価値が認められるといい、と麻紀子さんは感じている。


「よこはま・ゆめ・ファーマー」と「野菜のソムリエ」を取得

kadokura_hatake3.jpg 子育てから手が離れてきた昨2006年、麻紀子さんは「よこはま・ゆめ・ファーマー」とジュニアマイスター(野菜のソムリエ・日本ベジタブル&フルーツマイスター協会認定)に挑戦し、両方ともに取得した。

 「よこはま・ゆめ・ファーマー」は、農業経営や地域活動などに主体的に関わっている女性に対し積極的に支援を行う横浜市(環境創造局)独自の制度だ。発足後10年がたち、現在60余名が認定を受けて、視察や加工・伝統料理等の研修、イベントでの農作物の販売や講師等の活動を行っている。
右 :直売用に新しい野菜にも挑戦する


kadokura_hatake2.jpg 麻紀子さんは「農と緑のふれあい祭り」(2006年11月)、「よこはま・ゆめ・ファーマー文化祭」(2007年1月)等に数回参加し、市民や農業者との交流を深めてきた。地域の伝統料理教室では、「伝えていくべき料理と思いました。できるなら習ってみたい」と先輩女性の腕に感激したそうだ。


 資格を得たことで、今後麻紀子さんの活動や視野はますます広がっていくだろう。そして最近増えている農外から嫁ぎ農業を始めた女性として、新しい風を吹き込んでくれるに違いない。(水越園子 2007年4月13日取材)

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