提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


伝統野菜「白なす」が直売所で評判! リクエストに応じた品揃えで消費者の心を掴む

2007年04月02日

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岸本洋子さん(新潟県新潟市 ファームようこ/直売さぞう)
直売さぞうのメンバー。左から岸本さん、酒井さん、倉沢さん、大橋さん、鹿児島さん


幻の白なすが復活
re新潟白ナス 009.jpg 新潟県では用途によって違う品種を使うというほど、様々なナスが作られている。合併で新潟市となった旧巻町で白なすが栽培されていると聞き、栽培農家を訪ねた。
 白いナスは国内数カ所で栽培されているというが、巻町の白なすは、隣町・岩室の農家が自家用に作っていたタネを、普及職員がもらい受けて増やしたもの。西蒲原地域では昭和初期から作られてきたが、近年はごく一部の農家でほそぼそと種を取って保存してきたという幻のナスである。昨年から、希望する農家が本格的に栽培を始めたところだ。普通のナスより一回り小さく収穫量は少ない。実の擦れた部分は傷ができて茶色くなりやすく、また、茎が柔らかいため、大きくするには接ぎ木が必要だ。


 初めて白なすを見た反応は、「白くて気持ち悪い」が大半だが、一度食べると、とろけるような味に、ほとんどの人がリピーターになるという。直売所では3個100円で売られ、すぐに売り切れになる人気品だ。一番お薦めの食べ方は、「焼きナス」。9月初旬に岩室で行われた初めての「白なすまつり」には400人が参加し、白なすを試食して舌鼓を打ったという。


小さな直売所でも品揃えは豊富

reIMGP0735.jpg 新潟市仁箇の岸本洋子さん(63)は、白なすを栽培する農家のひとり。洋子さんの夫賢一さん(62)は農家出身だが農業は継がず、米、柿は知人に委託している。長年共働きであったが、洋子さんは息子3人の独立を機に平成9年に早期退職、夢であった「花のタネを育てる」ために、休耕田で花を作り始めた。カスミソウやコスモス、ユリ、チューリップ、スイセン等を育てて楽しんでいたところ、直売を始めるので加わらないかと誘われ、平成13年7月、「直売さぞう」の設立に参加した。


 「直売さぞう」は、代表の酒井カツさん(61)方の建物を改造した、車道沿いに立つ通年営業の無人直売所だ。年中無休で、朝八時半から夕方五時半まで営業する。洋子さんを除くメンバー4人(酒井さん、大橋正子さん(61)、鹿児島ヤイさん(59)、倉沢キクヨさん(59))は米、柿の専業農家で、それぞれが直売用の野菜を「市販されている野菜は全部」というほど多品目作っている。昨年からは冬期に育苗ハウスで葉物野菜にも挑戦し、花と野菜以外にも、米はもちろん、柿加工品や漬物等が店いっぱいに並ぶ。冬場には店に続く加工所で酒井さんが焼く大判焼きが人気だ。一年中ひっきりなしに車を止めて買い物客が来店する。メンバーは農作業の合間に品物の補充や様子を見に、ときどき顔を出し、お客さんと言葉を交わす。


「漬物もほしい」の声にこたえて加工も開始

reIMGP0739.jpg 初めは花だけを直売所に出していた岸本さんだったが、野菜も作るようになり、やがて顧客の「漬物も売ってほしい」の声に、自宅に加工所を作って漬物作りにも取り組むようになった。今ではメンバー5人のうち4人が製造許可をとって、夏場はナスの、冬場はダイコンの漬物を作り、直売所に出すようになった。干しダイコンのカラシ巻きは一年ほど前にマスコミで取り上げられ、一時注文が殺到したという。


 目下の岸本さんの悩みは、漬物加工の手間と「みどりとおひさまの会」等の集まりが多く、なかなか野菜を収穫する時間がとれないことだ。でも、「自分の楽しみで農業をはじめ、楽しんだ結果をお客さんに喜んでもらえて、とても張合いがあります」と生きがいを感じている。


地域全体で中小直売所を育てる
 旧西蒲原地域には、「みどりとおひさまの会」という直売所と農産加工を営む農業者のネットワークがあり、現在30団体・100人が参加、「直売さぞう」も会員になっている。会全体で伝統野菜や珍しい野菜の生産拡大に取り組んでおり、目玉となる特産野菜を作っていく考えだ。来年は白なすの栽培面積を今年の10aから倍に、収穫量も増やして直売所のお客さんや地元温泉旅館の期待に応えたいという。また、「かぐらなんばん」「白なす」に続く野菜として、「ザーサイ」の栽培にも取り組み始めたところだ。互いに競合する直売所が、結束する利点を生かすことにもよって地域と共存共栄する、地道な地産地消の取り組みを見守りたい。(水越園子 協力・新潟県新潟地域振興局巻支局農業振興部)
(月刊「日本の農業」2006年11月号(全国農業改良普及支援協会)から転載)