提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ストレリチアの自家選抜で品質向上と規模拡大をめざす

2007年04月02日

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大城安司さん(沖縄県南風原町 大紀ファーム)


 2000年7月、沖縄県糸満市の平和の礎の前で、九州沖縄サミットのため沖縄を訪問した前アメリカ大統領クリントン氏に女子高校生が一輪の花を手渡した。その名はストレリチア。花言葉は「輝かしい未来」という。
 ストレリチアは南アフリカ原産の常緑多年生植物で、ストレリチア科の美しい花だ。色、形ともに独特で極楽鳥花とも呼ばれ、一目見たら忘れられない印象を残す。乾燥や台風にも強く、沖縄では露地栽培され、冬場は夏場に比べて数は少ないものの、一年を通して日本全国に出荷されている。


 沖縄県内のストレリチア栽培農家約100戸のうち、沖縄本島南部の南風原町には半数の50数戸があり、南風原町は平成17年6月に沖縄県のストレリチア拠点産地に認定されている。


自家選抜で優良系統を増やす
reストレリチア花1.jpg 沖縄県南風原町津嘉山の大城安司さん(48)は、県内四市町村にわたる7カ所・2haでストレリチアの切り花15万本(年間)を栽培出荷している。妻和代さん(41)、父起浩さん(75)、母静子さん(72)、妹金城安子さん(38)の5人による家族経営である。大城さんは沖縄県指導農業士であり、現在南部地区指導農業士会会長を務めている。


 大城さんは昭和62年に脱サラし、父とともにサトウキビ栽培に従事したが、平成元年、ストレリチア専作に転換。ニューハイブリット系の栽培を始めた。JA津嘉山(当時)花き専門部会に入って技術習得に励み、部会活動や視察研修を通じて栽培技術の向上に努めた。

 大城さんの経営の特色は、ニューハイブリット系優良系統株の自家選抜を行っていることだ。平成4年に特徴のある2株を選び交配、育苗し、平成5年に初めて240株定植した。その後年々増やして、現在合計4,740株になる。また、個体差が少なく花立ちが多いオレンジプリンス系も平成5年から導入しており、栽培面積は、オレンジプリンス系1.2ha、ニューハイブリット系0.8haに及ぶ。

 ストレリチアは手入れ次第で半永久的に花を咲かせるが、立ち枯れる株もある。そこで更新のため苗を育てておく。大城さんは苗専用の簡易ハウス内の川砂地で育苗している。苗は、株分けと種子から育てる2通りの方法で育てている。4、5月に他家受粉で交配し、7、8月にとった種子を翌年3月に播種するが、現在発芽率は20%程度と満足できる数字ではない。そこで、苗の確保のために、大城さんは普及センターとともに発芽率の向上に取り組んでいる。


手入れの細やかさが高品質のカギに
re収穫作業.jpg 7カ所・2haに及ぶ圃場の手入れは、大城さんと父の2人でおこなう。なかなかの重労働だ。朝6時から昼過ぎまでは花の収穫にかかるので、空いた時間に手入れをする。除草し、枝(葉)を整理して風通しを良くする。肥料は有機質を主体に緩効性肥料を与えるが、1株あたり5kgもの量になるという。「ストレリチアは肥料に鈍感なので多めに入れます。一株につき、最低年1回は施肥します。初めの4,5年が勝負で、株をしっかり育てると花がよくつきます」と大城さんは言う。また、原産地の降水量に比べて沖縄の降水量は多いので、圃場の排水管理も重要だ。立ち枯れ防止には、風通しを良くすることが欠かせないという。

 手のかかる花の調製作業は女性3人の仕事である。手仕事で5本ずつ束ねてラッピング後、箱に詰める。出荷は県花き園芸農協を通じて行っていて、夕方から夜にかけて集荷場に運び込む。また、無人販売も南風原町内二カ所で行っている。ストレリチアの年間出荷数は15万本になる。価格はセリ値で平均1本当たり90~100円、年末需要期は4~500円に跳ね上がるという。


規模拡大と品質向上が今後の目標
 家にいるよりも、圃場でストレリチアの手入れをするのが何よりも楽しみという大城さん。自家選抜による交配育苗についても「自己流」と謙遜するが、探求心、研究心がたいへん旺盛だ。今後の展開について、大城さんは「5年以内に2.7haに面積を拡大し、1株当たり切り花本数20本、出荷本数25万本、粗収益2,000万円超にしたい。現在オレンジプリンス系6に対し自家選抜系4となっていますが、自家選抜系を増やしていくつもりです。」と話してくれた。大城さんのこれからの経営が楽しみだ。(水越園子 協力・沖縄県南部農業改良普及センター)
(月刊「日本の農業」2006年10月号(全国農業改良普及支援協会)から転載)