徳島県
吉原 均
吉原 均
徳島県美波農業支援センターの吉原均です。野菜・作物担当で「きゅうり」、「いちご」、「水稲」、「藍」を担当しています。
2010.08. 6
以前ご紹介した「海部の藍(あまべのあい)」。その初めての収穫作業が7月末に行われました。
降雨による定植時期の遅れや、除草作業の遅れ、追肥・土寄せ作業の遅れなど、さまざまな困難を経て、ようやく収穫時期を迎えました。
通常は、畝間の地面が見えなくなるほど生い茂った状態で収穫するのですが、残念ながら、今年はそこまで到達できず、花芽が出てしまいました。藍は花芽を付けると色素含有量が減少すると言われています。品質低下を避けるため、やむを得ず収穫となりました。
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左 :7月末の状態。5月末に移植した藍が結構大きくなりました。本当はもうちょっと大きくなって欲しかったのですが・・・
右 :移植が遅かったせいもあって、花が咲き始めてしまいました。収穫しなければなりません
ビーンハーベスターを改良した収穫機出動! 多少調整に手間取りましたが、なんとか収穫できました。
収穫した藍は、茎と葉に分けなければなりません。通常はカッターで裁断して、大型扇風機を使って選別しますが、今回は収穫量がそれほど多くなかったので、農家に保管されていたイネの脱穀機(なんと人力!)を使いました。藍の束を機械にかけると藍独特の甘い香りが辺りに漂い、なんとも感慨深かったです。できた葉藍も、茎が全く混入せず、上質でした。
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左 :今回は少量だったため、イネの脱穀機をつかって葉と茎を分けました
右 :見事に葉だけを回収することができました。この後、天日乾燥されます
来年は定植時期をもっと早めたり、開花期が遅く収穫しやすい草型(半立性)の品種に切り替えるなどして、安定的に栽培できるように改良する予定です。
この地での藍栽培は始まったばかり。今後、地域に根ざした作物となるように、さまざまな支援をして行かねばなりません。がんばります。
(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)
2010.06.28
今回はちょっと変わった稲作についてです。その名も鉄コーティング直まき! 「みんなの農業広場>注目の農業技術」でも詳しく紹介されている技術です。
徳島県では全然普及していない技術ですが、今回わが管内にチャレンジする農業者がいらしたことから、支援センターの出番となりました。
コーティング作業には機械が必要なので、農業研究所からレンタル。また、高度支援センターの作物担当職員の協力も得て作業しました。
この技術は、ずいぶん昔に、近畿中国四国農業研究センターで開発されたものです。そのころ研究員だった私は、担当の研究員さんから、直接説明してもらいました。
そのときに見せてもらった、磁石にくっつくイネ籾のインパクトは大変強烈で、今でもよく覚えています。私は後にこの技術にヒントを得て、アマモ場再生技術を開発することになったのです。(興味のある方は→こちらをご覧下さい。水産関係のHPなので私の名前は出てきませんが、一応、発案者なんですよ)
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左 :コーティング作業中。作業者は高度支援センター小牧主任班長
右 :コーティング直後の籾
さて直まきですが、播種の4日ほど前にコーティングしたものを使いました。品種は「あきさかり」。
播種作業はあっという間におしまい! 農家の方も「これは楽じゃ~」と感心されたようす。
水加減の関係で、多少の生えムラが出ましたが、順調に成育中です。この省力栽培法、どんどん広まって欲しいものです。
2010.06. 4
私が行く所、藍がある(←?)。
というわけで、今回は新しい「藍」への挑戦をご紹介します。
先日、徳島県でも最も南側に位置する、海陽町の熟田(ずくだ)地区で、藍の定植作業が行われました。
藍と言えば徳島県、というわけで、徳島ならどこでも栽培されていそうなイメージの藍ですが、実は県内でも北側、吉野川沿いのごく一部でしか実用栽培されていません。
ところが最近、当センター管内の海陽町で、藍の栽培に挑戦している方たちがいらっしゃいます。
以前のブログでもご紹介しましたが、現在、地元の肌着メーカーなどと連携して、藍を使った農商工連携の取り組みを模索しているのです。構想には、地元産の鶏糞堆肥を活用することも組み込まれていて、地域資源の利活用といったテーマにも沿った形となっています。
定植は、肌着メーカーの関係者や地元農家など、多彩な顔ぶれでワイワイと行われました。
左 :植え付け前には、天地の神様にお酒とお祈りが捧げられました
右 :植え溝を作る作業。今回は人力で挑戦! 私は腰が痛くなりました。写真は栽培に挑戦する農家Y氏
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左 :地元肌着メーカーの専務さんとお嬢さん(写真手前のお二人)も植え付けに挑戦
右 :出番を待つ藍の苗。これは地面に播種して育てたもの。このように移植直前に抜き、水に漬けておきます
なにせ、ほとんどの人が藍の定植初体験。まるで体験学習でイネを植える小学生のように、楽しく作業が行われました。
追肥や除草を経て、7月中~下旬には収穫できる予定です。今後もこのブログで、生長のようすをレポートしたいと思います。
古代、この地で朝廷に仕えた海部にちなみ「海部の藍(あまべのあい)」と名付けられたこの地域の藍。今後の動向に期待大です。
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左 :こちらはセルトレイで育苗中の藍。まだ発芽したばかりです。これもそのうち移植されます
右 :移植から5日後の様子。雨で水浸しですが、藍はへっちゃらです! むしろこの方が元気
2010.05.10
このたび転勤で、徳島県で最も南にある、美波(みなみ)農業支援センターに勤めることになりました。
ここは朝の某連続ドラマの舞台になったところです。残念ながら、撮影も放送もすっかり終わっていますが・・・。
とにかく、今後もよろしくお願いいたします。
新しい担当作物は「きゅうり」。管内では35戸、10haの規模で栽培しています。きゅうり栽培が始まってから60周年という、歴史のある産地です。
今回ご紹介するのは、私が担当することになったキュウリ栽培での新しい取り組み、「スワルスキーカブリダニ」という天敵を使った害虫防除についてです。
天敵と言えば、以前にも飛ばないテントウムシをご紹介しましたが、今度の職場でもやっぱり天敵と関係がある仕事・・・。よほど縁があるのでしょうかねぇ。
右 :今回の戦場はここ、キュウリのハウス。湿度がすごく高くて、まるでジャングルみたいです、暑い!
さて、キュウリ栽培現場では、ミナミキイロアザミウマという手ごわい害虫に悩まされています。
そこで導入したのが「スワルスキーカブリダニ」。ミナミキイロアザミウマなどの害虫を食べてくれます! なんだかワルそうな名前ですが、全然悪くありません。スワルスキー博士が発見したからこんな名前なんだそうです。ちょっと言いにくくて、農家の方に覚えてもらいにくいのがご愛敬。キュウリではあまり使用例がないそうなのですが、実用化に向けて、試験的に導入を進めているところです。
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左 :憎き害虫、ミナミキイロアザミウマ。残念ながらスワルスキーは撮影できていません・・・。すみません
右 :調査中セルフ撮影。右手でカメラ持ってます
現在、週1回、8カ所のハウスで調査を行っていますが、何せこのダニは小さい! しかも動きが速い! 目がすごく疲れます。
しかしこのスワルスキーカブリダニを導入して害虫防除に成功しているハウスでは、例年行っている薬剤防除をほとんどしなくていい、という状態です。実施農家の方の中には「これはいい。楽だね!」といって下さる方もおられます。今後の成果が楽しみな状況です。
2010.03.29
Buon Giorno! 今回は非常にユニークな取り組みについてです。
テントウムシがアブラムシの天敵ということはご存じですよね? 現在、このテントウムシをアブラムシ防除に応用しようという取り組みが行われていて、私も農業研究所の調査をお手伝いしています。
対象作物は、徳島特産の「春にんじん」。当管内が最大の産地です。
実はこのテントウムシ、普通のテントウムシではありません。なんと! 「飛ばない」テントウムシなんです。その名も「飛ばテン」。(独)近畿中国四国農業研究センターで育成された、遺伝的に飛ばないナミテントウです。羽も筋肉もちゃんとあるそうなので、「飛べない」ではなくて「飛ばない」ということらしいですが・・・。
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左 :今回の戦場はここ。にんじんのトンネルです
右 :調査中の研究所の方々。調査は常に中腰。「腰イテー」が合い言葉です
さて、「なんで飛ばんの?」「さぁ?」などという会話をしつつ、調査開始。アブラムシとテントウムシを数えます。
調査していると「飛ばテン」発見。確かに飛びません! 普通のテントウムシなら、何かの先端までたどり着くと飛んでしまうものですが、クルリと引き返してしまいます。これなら遠くに脱走せずに、作物についたアブラムシをたくさん食べてくれるかも! 葉っぱの上をヨタヨタ歩く姿はちょっと頼りないけど、彼らの活躍に期待してます!
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左 :新芽に発生したアブラムシ。飛ばテン、ご飯はここですよ!
右 :飛ばないナミテントウ。背中の模様は色々個性があって、おしゃれな感じ。このコはわりと派手なタイプ