普及指導員が現場で活躍する日々をレポート
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大分県
塩崎洋一

塩崎洋一

大分県豊肥振興局で経営全般の普及活動を展開中です。大分県臼杵市生まれ、九州東海大学卒。昭和63年に畜産普及員で採用されました。実家は平成6年まで肥育農家でした。

新規就農からのステップアップ

2018.05.24

 5年ほど前に新規就農で経営開始したHさん、訳あって経営相談がありました。
 「親元就農だったけど、別経営のこのままでは厳しいので、なんとかしたいです」とのこと。


 両親と本人の経営状況をそれぞれ伺うと、若手が子育てをしながら生活するには不利な経営内容ですが、新規就農の際に活用した制度上、これまでは変更もできなかった、という過去の経過も伺いました。
 「妻が他で仕事をしているので生活は何とかやってこれました。でも、自分自身の農業経営として考えると、このままでは全然納得がいかないし、なんとかしたいんです・・・・」と、本人はとても前向きに農業に取り組んでいます。


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両親と一緒に来たHさん。地域の農業後継者グループの会長です。他業種からの就農ですから、経営に関する感覚も違うようです


 今回の具体的な相談内容は、
①就農時点で活用した制度上、新たな経営展開をしても問題ないか、
②追加する経営内容をどのように進めるか、
③あわせて、経営継承など両親の意向はどうか、
 というところです。


 経営を一本化すれば売上も倍近くなるし、その方が金融機関に対しても有利でしょう。現状の施設や土地をうまく使えば、いいのでは。近いうちに部門担当者と現地を見ながら検討しましょう。
 ということになりました。

毎年恒例

2018.05. 8

 パソコン簿記の次年度更新という作業があります。
 3月の申告を終えて、今年の入力作業を行うために、期末から期首への転記を操作します。
 簡単に言えばこれだけのことです。パソコンの操作も、前期のデータのバックアップをとって、画面を見ながら操作するだけです。人によっては10分もあれば終わる仕事です。

 ところが、毎年地域のグループで集まって、みんなで一緒に確認しながら作業をしています。なぜか?
 パソコンの画面通りにすれば良いのですが、みなさん微妙に「これで良いのかなあ」という不安感があるようなのです。そこに、誰かに来て欲しい、いて欲しい、という気持ちもあいまって、毎年恒例の風景が生まれるようです。


 さて、そこで今回、新人のOさんも連れて行きました。まだまだわからないことばかりですが「覚えるというよりは、慣れろ」と励ましたところです。彼女は両親ともに現役普及員。それが理由かどうかはわかりませんが、農家さんとの会話、間合いの取り方が上手いようです。


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手前、左から二人目のOさん。農家さんと一緒に歩く感覚「覚えるより慣れろ」です


子守をしながら追い込み作業

2018.03.26

 複合経営農家のWさん。肉用牛担当のMさんを経由して相談がありました。
 「今まで両親は白色申告でしたが、今年からは私たちが青色申告します。どうしたらよいですか」とのこと。昨年来時々Mさんと訪問して、今までの帳簿などを見せてもらいながら、色々な状況をお聞きしました。


 ご夫妻ともに商業高校出身で、ご主人は他業種からのUターンで就農されたそうです。こんな場合は、さてどうするか・・・・。
 Wさん自身、パソコンの操作はあまり得意ではないけれど、簿記の知識はある。Mさんもあまりパソコン簿記は慣れていないが、簿記の勉強はしている。今回の青色申告が最初なので、実質第1期目の決算、期首を決めなければいけない・・・・。
 ということで、手書き簿記の作業を一部エクセルでやることにしました。
 レシートの整理から現金仕訳、預金通帳の仕訳や売上の整理などは割とスムーズにできましたが、育成費用の振り替えなどは、Mさんにも勉強してもらいました。


 そしてこの日、元帳に転記して合計残高表を作ってみたところ・・・・。
 さてさて、何が間違っているのか、右と左が合いません。
 横で息子さんが静かに遊ぶのをながめながら、必死になって間違い探しをする昼下がりでした。


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息子さんも、将来はきっとお父さんのようになる。その時に思い出す光景なのです。
「作業服を着たお姉さんが、母ちゃんと何かやってたなあ。あれが、これだったんだ・・・・」


 ですが、この2日後に、「ちゃんと申告できました」との報告がありました。これにて、今年度の簿記作業に関する普及指導活動は、なんとか無事に終了です。

若手研修

2018.03.15

 今年度は、ひさしぶりに農業後継者組織を受け持っています。
 彼らは、やっぱり元気が良い。一世代二世代前のように会員数は多くはないですが、しっかり勉強する意欲はあります。この日は県内研修で、食肉処理場と水耕レタスの栽培システムを見学しました。


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県内には数カ所しかない、水耕レタスの施設です


 ところで、こうした後継者組織でメンバーそれぞれの部門が異なり、肉用牛に露地野菜、果樹に椎茸、ハウス野菜などなどとなってくると、みんなそろっての研修は内容組み立てが大変です。
 が、そこは若いメンバーのこと、自分の品目と違うものでも熱心に勉強していました。その証拠に、食肉処理場(屠畜場)の現場を見学した後にもかかわらず、お昼はガッツリ焼肉だったのです。また、そうした品目の違いがあっても、若い証拠に、一晩みんなで騒げば、すぐに意気投合していました。

店開き千秋楽

2018.03. 7

 「前任地に比べてお客さんが多いなあ」と、以前お伝えしたかもしれませんが、継続的に事務所上げての対応でカバーする簿記指導もお客さんの多い仕事になります。管内すべての農家数に比べれば、普及員が直接対応した人数は、少ないかもしれませんが。


 この日は市役所開催の最終日。来週には確定申告の締め切りが来ますが、管内で農家さんが自ら参加して作業する、通称「店開き」はこの日が最後です。
 農家さんが独自で作る簿記グループ数カ所、管内2つの市役所が開催するものなどなど、毎回数名の若手普及員で手分けしての入力作業対応です。もちろん、先般の簿記講座とは別になります。


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3年目のHさんとKさん、中堅のYさん、手慣れたものでした


 そうした場での質問は大きく3つ。
①パソコン操作そのものがわからない 
②普通に損益の仕訳がわからない 
③育成費から償却資産に振り替える作業などがわからない 


 色々な状況はありますが、普及員のスキルアップもさることながら、農家さん自身のスキルアップというか、帳簿整理そのものを農業経営の中でどのような仕事と位置づけているのか。この意識レベルを全体的に向上していくことは、普及活動の永遠の課題のような気がした今シーズンでした。

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