提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


35年以上耕作放棄されていた畑を、一面ソバ畑に!(栃木県真岡市)

2012年12月11日

 栃木県南東部に位置する真岡市八木岡地区は、人口が約1600人、なだらかな丘陵地帯に集落が形成されており、南北に流れる五行川の河岸では稲作が行なわれている。

 平成22年まで減少傾向にあった耕作放棄地面積が平成23年に増加に転じ、高齢化と後継者不足で、耕作放棄地はますます広がると考えられる。さらに、荒れ果てた耕作放棄地は不法投棄を助長するため、地区全体の問題となっている。

 そこで真岡市担い手育成総合支援協議会と八木岡地区にある「八木岡ソバ会」が中心となって、今回のクボタeプロジェクトを依頼。耕作放棄地の解消と、その土地にソバを作付けすることで、地産地消による地域の活性化を目指している。



シノ竹が繁茂し、ジャングルのように荒れ果てている(2012年7月)


 対象の放棄地は約45a。シノ竹が繁茂し、大部分が35年以上耕作放棄されており、地上のシノ竹はもちろん、土中も根がびっしりと張り巡らされていた。事前準備として、地元関係者により灌木の伐採・抜根、投棄物の収集などが行われ、11月29日からeプロジェクトにより草刈、プラウによる反転耕が開始された。シノ林の一部は、地元農家が竹を使うために時々刈取りを行っていたため、プラウで反転できたが、長期間放棄されたシノは根茎が密生し強力で、反転耕を断念せざるを得なかった。

 11月30日午前、栃木県および同県耕作放棄地対策協議会主催で耕作放棄地再生対策研修会の現地実演会が開催され、県、市町村の耕作放棄地対策関係者、農業団体、地元農家など、約120名が参加し、再生作業を見学した。


  
左 :実演会には多くの参加者が集まり、地区全体で取り組む意欲が感じられた
右 :写真の右側はプラウ耕により土を反転できたが、写真の左側ではシノ竹の根茎が強力過ぎて断念


  
左 :密生したシノ竹の根茎右  / 右 :今回は一部分のみプラウ耕を行った



放棄地は不法投棄の原因を作り出してしまう


 高さ5mにもおよぶシノ竹は、80馬力のトラクターと草刈機、オフセットシュレッダーによって細かく砕かれ、土中に混ぜることで、有機質肥料となる。直径2cm以上のシノ竹が切り倒される音はすさまじく、ここまで荒れてしまった放棄地は、個人の力ではどうしようもできないことを痛感させられた。今回は、大部分の面積で反転耕を断念せざるを得なかったため、新芽が伸びた段階で地元で除草剤を散布するなど、根を枯らす措置を行った後に、改めてクボタeプロジェクトでプラウ耕の支援を行うこととなった。


  
左 :高さ2.5mのトラクターと比較するとシノ竹がいかに大きいかが分かる
右 :トラクター(SMZ805)+オフセットシュレッダー。シノ竹を砕きながら刈り取る。豪快な音をあげ切り倒れされていく


 また、午後は、耕作放棄地再生対策研修会が屋内で開かれた。静岡県掛川市の今駒敏雄氏から、掛川での取組み状況の講演があり、また、事例発表として、真岡市における耕作放棄地の対策と課題、今後の状況を真岡市農業委員会 主事 上野裕二氏が、また、(株)クボタ  新野謙司 技術顧問より、「eプロジェクトによる放棄地再生支援活動」の発表があった。今回の問題は、地区全体で考えなければならないことを参加者は理解しており、みな真剣に発表を聞いていた。


  
左 :耕作放棄地再生対策研修会
右 :静岡県掛川市農業委員会 係長 今駒敏雄氏による講演


 来年の夏、この圃場は一面、白と赤の花を咲かせたソバ畑に様変わりする予定である。圃場のすぐ横には真岡鉄道が通っており、土日はSLも走るという。このSLに乗りながら見られる、一面ソバの花で埋め尽くされた景色は名スポットになるだろう。今回の再生活動を皮切りに、周りの耕作放棄地の解消も期待される。(みんなの農業広場事務局)



シノ竹が刈り取られた今回の圃場。来年には一面ソバの花が咲いた花畑を、すぐ隣を走っている真岡鉄道のSLから眺めることができるだろう