提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ゴマ栽培

2008年12月03日

概要

「由来と特徴」 
●ゴマは、ゴマ科に属する1年草で、原産地は東インドからエジプトにまたがる地方とされ、インド、ビルマ、中国を経て、日本に渡来しました。
●世界的には、栽培分布は狭いと考えられます。
日本では、縄文時代前期に当たる5千数百年前には栽培されていたようです。
●イネ科、マメ科、アブラナ科作物の多いなかで、作物として近縁種の極めて少ない、特異な畑作物です。
●多湿地や極端な酸性土壌を除けば、どのような土壌にも適応します。
●俗に「日照りゴマに不作なし」といわれるほど乾燥に強く、乾燥農業に適した作物として注目されています。
●北東北の栽培では、気象災害(例外、低温)の年に、収穫量が極端に減収したり、収穫皆無のこともあります。 

ゴマの花(黒ゴマ) ゴマの莢(黒ゴマ)
左 :ゴマの花(黒ゴマ) / 右 :ゴマの莢(黒ゴマ)(長野県駒ケ根市)

「利用法」 
●白ゴマは粒の大きさが小さく、収量も少ないものの、含油量が高く、高品質です。
●黒ゴマは粒が大きく多収ですが、含油率が低いために、食用として栽培されます。

主な品種と種子の入手方法

「品種」 
●種子の色によって、白ゴマ・黒ゴマ・黄ゴマ・金ゴマに分かれます。
●黒ゴマは全国的に栽培され、北限は岩手県北部から青森県南部地帯です。
●黒ゴマは分枝が多く、多収系統が多いです。
●金ゴマ、茶ゴマ、白ゴマは、関東以南(茨城県)あたりまでが、栽培地として適当です。

ゴマの種子(左:黄/中:白/右:黒)
ゴマの種子(左:黄/中:白/右:黒)

「入手先」 
  ●参考までに、2008年現在の取扱先を記しました。 
 ○(株)佐藤政行種苗種苗部 TEL019-638-5411 FAX019-637-1543  
 ○タキイ種苗(株)       TEL075-365-0123 FAX 075-365-0150 
 ○カネコ種苗(株)       TEL027-251-1611 FAX 027-290-1073 
●ゴマの種子は、栽培する地域の小売店で、販売しています。無いときは近隣地から取り寄せてくれることもあります。

栽培

「栽培メモ」 
●連作は、苗立ちが悪くタチガレ病などの発生が多くなるので、避けます。
●根が深く、茎が細い割には倒伏に強いですが、枝が裂けやすいので、風当たりの弱い場所か、トウモロコシ程度の高さの作物を風上に栽培すると、被害が少なくてすみます。
●草長は100~150cmくらいで、多数の節を有します。
●各節に被針形の葉を生じ、葉のわき(脇)に花を付けます。
●品種によって、一節一花、二花または三花を生じます。
●各節の花は自家受精して、朔果(子実が成熟する子房)となります。朔果の子房は四室が多く、たまに六室から八室の系統もあります。
●生育期間が4~5カ月前後と短くても、約80~100kgの収量が得られ、エネルギー生産効率が高い作物です。
●乾燥子実の千粒重は1.9~2.5gほどです。
●莢の付き方によって、主茎型・分枝型があります。

ゴマの栽培と管理のポイント(直播き)北東北地域
図 :ゴマの栽培と管理のポイント(直播き)北東北地域

「播種前の準備」 
●排水性の良い圃場を選び、よく腐熟した堆肥を10a当たり1~2t程度、播種1カ月前に施し、耕起しておきます。
●酸度の高い土壌は生育が劣るので、炭酸カルシウムなどの石灰資材を施し、土壌pH6前後になるようにします。
●播種の10日ほど前に、10a当たり成分量で窒素4~6kg、リン酸5~10kg、カリ8kg程度を土壌全面に散布して耕起し、整地します。
●前作が野菜栽培などで肥沃な場所では、施肥は少なめとします。 

「播種:直播き栽培」 
●高温を好むので、正常な初期生育のためには、出芽時に20℃以上の地温が必要とされます。
●最も適した播種期の早限は、東北地方で6月上旬、関東地方で5月下旬、関東以西の暖地では5月中旬です。
●気温が10℃の低温でも出芽しますが、出芽に長くかかる上、苗が黄化して貧弱となり、その後の生育もよくありません。
●十分に温度が上がってから播種するのがよく、平均気温16℃以上が適期です。
●畦幅75~80cm、播き幅10cm位とします。
●10aあたり種子600~800gを、土か砂に混ぜて播種します。
●覆土はできるだけ薄く、5mm程度とし、丁寧に行います。

「管理作業」 
開花中のゴマほ場(岩手県立農業大学校) ●出芽後、2~3回に分けて間引きします。
●畝間は75cmとし、株間は15~20cmの1本立てか、30cmの2本立てが標準です。
●4~5葉の頃に最後の間引きをし、欠株があれば補植します。
●播種が当地の適期から遅れるときは、株間を10cmくらいにします。播種期が遅れるほど、生育量が小さく莢も少なくなるので、本数を増やして収量を確保するためです。
●間引きを終えたら、除草と土寄せをします。
●生育が十分でないときは、窒素を10aあたり1~2kg(成分量)追肥します。
写真 :開花中のゴマほ場(岩手県立農業大学校)

「病害防除」 
●病害は、シラキヌ病以外はほとんど出ません。
●害虫では、ゴマ特有のスズメガ(ゴマムシ)の幼虫に注意します。

「収穫調製」 
開花中のゴマ (岩手県立農業大学校)結実したゴマ ((株)佐藤政行種苗育種研究所農農場)
左 :開花中のゴマ (岩手県立農業大学校)  / 右 :結実したゴマ ((株)佐藤政行種苗育種研究所農農場)

●ゴマは、茎の下から上部へ、開花の順に成熟します。
●下部の朔果が2~3個ほど烈開を始めたら、すぐに刈り取りを始めます。
●ソバや小豆などと同様に、朝方の方が烈開が少なめです。
●ゴマの生育量によって、5~15株をわらで束ね、一週間くらい乾燥させます。
●低い横木を固定し、穂先(朔果)を上向きにして立てかけます。
●軒下など、雨や露が当たらず日が当たる場所に、シートかむしろ(筵)を敷いて立てかけると、損失を防ぐことができます。
●乾燥には、未使用のビニールハウスの利用も効果的です。
●よく乾燥したら、シートか筵(むしろ)上に積み上げて、足で踏むか、棒で叩いて脱粒させます。
●大きな桶にゴマを逆さにいれて、棒で叩き落とす方法もあります。
●その後、十分乾燥するまで日干しして、唐箕(とうみ)選で調製します。 

収穫乾燥中のゴマ (岩手県滝沢村農家にて)収穫乾燥中のゴマ (岩手県滝沢村農家にて)
写真 :収穫乾燥中のゴマ (岩手県滝沢村農家にて)

「マルチ栽培」 
●ゴマは日照りに強く、高温を好む作物なので、マルチ栽培はゴマに最も適した栽培法といえます。
●マルチによって地温が上昇し、生育が進み、肥効を増やし、水分を適切に保持することができます。また、収量も安定します。 
●マルチで地温が高まるので、直播き栽培(普通)より10日ほど早く播種できます。
●施肥・整地後、マルチを張ります。
●株間12~15cmの穴あきマルチを用い、一穴に5~7粒の種子を播きます。
●出芽してから順次間引いて、最終的には1~2本残します。
●暖地では15cm1本立て、寒冷地(北東北)では12cm1本立て、または15cm2本立てが一般的です。
スリットマルチ(左)と穴あきマルチ(右)穴あきマルチ
左 :スリットマルチ(左)と穴あきマルチ(右) /右 :穴あきマルチの発芽のようす (長野県駒ケ根市)

●透明と黒色のマルチとも、無マルチ(普通栽培)より増収します。
●寒冷地では透明の方が地温が高くなり、生育量も増して多収となります。
●温暖地では黒マルチでも十分効果があり、雑草の抑制にもなります。
●その他の管理、収穫調製は、普通栽培と同じです。

「参考:マルチの選び方」 
●1株1本立ての場合のマルチ規格は、8212B、9215Bが適します。 
●1株2本立ての場合のマルチ規格は、9230Bが適します。

執筆者 
大野 康雄
雑穀研究会 

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