提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


「北限のユズ」を復興のシンボルに。ブランド化で、地域再生にもつなぐ(岩手県陸前高田市)

2013年10月16日

 岩手県内では最も温暖な気候の陸前高田市。ここでは、昔から庭木の一つとしてユズが植えられ、安定的に栽培できる北限となっている。そこで、市内の産直関係者らの間で、「北限のユズ」をブランド化して地域おこしを図ろうという試みが始まった。


 県内二戸市の蔵元「南部美人」との出会いをきっかけに、ゆずリキュールを製造し、陸前高田で販売することを計画。平成22年、商品化を目指してリキュールを試験醸造し、翌年から本格的な生産が始まることになった。

 しかし、東日本大震災による大津波で、陸前高田市は甚大な被害を受け、取り組みは一時休止状態に。その後、あらためて「北限のユズ」を活用した地域振興を計画したところ、こうした地元の動きを受けて、岩手県農業研究センターを中心に全国の研究機関や大学などが加わる研究チームがつくられ、ユズの安定生産の実証事業を行うこととなった(農林水産省の委託研究事業を活用)。


 実証圃場は陸前高田市広田町黒崎にある、海を望む日当りの良い傾斜地。面積は約20a。ユズ園をつくるには好条件の土地だが、ここ数年は耕作が放棄されている状態にあった。
 そこで、北限のユズをブランド化して加工品開発を進めることを目的に設立された「北限のゆず研究会」の構成団体の一つ、「農事組合法人 陸前高田ふれあい市場」が、クボタeプロジェクトに耕作放棄地再生の依頼をした。


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左 :草刈り作業の前に、圃場の状態を確認
右 :草むらの中にはクルミの立木も


 9月20日午後に草刈り作業をして、翌21日、「北限のゆず研究会」メンバーや陸前高田市農業委員会、岩手県農産物改良種苗センター、大船渡農業改良普及センターら関係者が見守る中で、耕起・整地作業が行なわれた。
 プラウ耕により反転した土中からは、強力な根や大きな石が現れ、作業を阻む場面も何度か見られたが、無事に整地まで終え、その後、圃場引渡し式が開かれた。


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左 :草刈り作業
右 :草刈りを終えたユズ新植予定地。広田半島の突端、目の前には海が見える


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左 :プラウでの耕起作業の開始
右 :大きな石も埋まっており、作業はたびたび阻まれた


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左 :プラウ耕のあと、パワーハローで砕土・整地
右 :2台の機械を稼働させ、みるみるうちに圃場を再生していく


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左 :見事によみがえった圃場
右 :再生した圃場で記念撮影


 耕作放棄地再生作業をおこなった、(株)みちのくクボタの高橋豊社長は、「地域の復興のため、そして農業の発展のために、我々も精いっぱい応援し、お手伝いしていきたい」と挨拶。

 陸前高田ふれあい市場の佐々木隆志代表理事は、「短時間で作業が終わり、機械の力はすばらしいと感じた。ユズは実がなるまで時間のかかる作物だが、粘り強く取り組み、北限のユズを全国に発信していきたい。畑のすぐそばには黒崎仙峡温泉(日帰り入浴施設)があり、景色もいいので、観光スポットにもなるようなユズ園をめざしたい」と語った。


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左 :(株)みちのくクボタの高橋豊社長
右 :農事組合法人陸前高田ふれあい市場の佐々木隆志代表理事


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ポットで養成した大苗を植え付けて、早期結実を図る


 「北限のゆず研究会」と岩手県農業研究センターでは、震災前から取り組んでいるリキュールをはじめ、シフォンケーキ、クッキーなどの加工品製造・販売を展開しながら、ユズの生産量や集荷量の向上に向けて研究、実践を進めていく。北限のユズを復興のシンボルとして、6次産業化も目指す新たな動きに、地域の期待が集まっている。(橋本佑子 平成25年9月21日取材)