提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


野菜

天敵を利用した害虫防除の方法を教えてください。

現在、市販されている天敵昆虫類は、主として施設園芸の害虫防除を中心に利用されています。製品は天敵の成虫をバーミキュライト等に混和してボトルに詰めたり、蛹(マミー)をカード状の紙に付着させたりしたものが多く、これを株元や葉上にまいたり株上に吊り下げたりする方法が一般的です。

一般に天敵農薬は買い置きができないため、害虫の発生動向を予測して、製品を発注するかねあいが大変難しい。したがって、天敵昆虫類の使用に際しては、害虫の発生動向をよく観察し、処理適期を判断する必要があります。しかも、害虫が多発してしまうと天敵の効果は得られなくなってしまうため、害虫の発生初期に処理することが重要です。
施設園芸では、圃場毎に病害虫の発生状況が大きく異なるため、対象とする害虫の発生動向について、生産者が日頃から十分に観察し、発生初期を見逃さずに適期に天敵農薬を処理することが最大のポイントです。


  1. 成功のカギとなる条件

    1. 施設内に害虫を侵入させない。施設内に害虫(目的以外の害虫も含めて)を持ち込まないよう、育苗からの防除を徹底する。 さらに、定植前に粒剤を処理すると効果的である。初期密度を抑えることがポイント。

    2. 適切な導入の時期(季節)を選ぶ。

    3. 天敵類が活動できる温度条件はチリカブリダニで17~28℃、オンシツツヤコバチで20~27℃となっている。天敵は高温に弱く、30℃以上では活動が鈍るので、施設内の温度管理には十分気を付ける。導入できない時期には薬剤等で管理する。

    4. 害虫の発生初期段階に放飼する。
      害虫をごく少数でも発見したら放飼する。このとき、スポット的な発生であれば、そこに集中的に天敵類を放飼し、残りを施設全体に放飼すると効果的である。

    5. 化学合成農薬等の影響を受けないようにする。

      1. 天敵類に影響の少ない化学合成農薬を選ぶ。

      2. 化学合成農薬の散布が必要な場合は、できるだけスポット処理にする。


  2. 天敵放飼時の留意点

    1. 放飼された天敵は圃場内を移動するが、可能な限りむらのないように放飼する。特に、高設栽培では、畝間を移動しにくいと思われるので、均一に放飼する。ただし、ハダニが発生している場所にはスポット的に多めに放飼する。

    2. 天敵を放飼する場合は、容器内の偏りを少なくするために、まず静かに数回まわしてから、フタを外す。その後、容器をゆっくり回しながらキャリアー(天敵を保護する緩衝資材)であるバーミキュライト等とともに、畦の中央部の株に放飼する。


  3. 天敵農薬の種類

    1. コナジラミ類対象の天敵
      オンシツツヤコバチ剤、サバクツヤコバチ剤

    2. ハダニ類対象の天敵
      チリカブリダニ剤、ミヤコカブリダニ剤

    3. アザミウマ類対象の天敵
      ククメリスカブリダニ剤、タイリクヒメハナカメムシ剤、アリガタシマアザミウマ剤
      デジェネランスカブリダニ剤

    4. ミナミキイロアザミウマ対象の天敵ナミヒメハナカメムシ剤

    5. アブラムシ類対象の天敵
      ショクガタマバエ剤、コレマンアブラバチ剤、ヤマトクサカゲロウ剤、ナミテントウ剤

    6. ハモグリバエ類対象の天敵
      イサエアヒメコバチ+ハモグリマユバチ剤、ハモグリミドリヒメコバチ剤

    7. マメハモグリバエ対象の天敵
      ハモグリコマユバチ剤