提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


稲作

斑点米カメムシの効果的な防除方法は

 イネの籾の生育途中にカメムシ類が吸汁したため、精米しても米粒の一部または全体が変色したり変形したりすることがあります。その原因となるカメムシを斑点米カメムシと呼んでいて、60種類ほどが知られています。
 収量や味には影響を与えませんが、美観に影響を与えるのでコスメティク害虫とも呼ばれています。農産物検査規格では玄米での斑点米混入率が0.1%より多いと2等級、0.3%より多いと3等級と格付けされるため、カメムシによる吸汁は「等級低下」という「被害」につながります。米粒に黒いシミがある場合でも、斑点米カメムシが原因ではないクサビ米であることがあるので、注意が必要です。


●被害が急激に増加

 近年斑点米カメムシの被害が増加しています。農水省植物防疫課の調査による水稲における斑点米カメムシの発生面積を図1に示しました。1975年以降斑点米カメムシの統計があるので、それ以降の値を示してあります。1970年代後半から1990年代前半は15%前後の発生面積率であったのが、1990年代後半から30%前後に急激な増加がみられます。

斑点米カメムシの発生の年次推移
斑点米カメムシの発生の年次推移
水田における発生面積と水稲作付面積から発生面積率を求めた


●近年、東北や北陸で多発

 図2に、2000年以降斑点米カメムシに関する発生予察の警報・注意報の発表回数を県別に示しまし
た。警報・注意報とは、病害虫が多発することが予測された場合にだされる情報で、病害虫の発生状況や気象条件などに基づいて各都道府県の病害虫防除所などが逐次発表します。
 全国的に発生がみられますが、特に東北や北陸地方で顕著です。地域によって問題となるカメムシの種類は異なっています。北海道、東北の日本海側、北陸では、アカヒゲホソミドリカスミカメ、関東、西日本ではクモヘリカメムシやアカスジカスミカメ、南日本ではクモヘリカメムシやミナミアオカメムシが多発しています。

斑点米カメムシに関する警報・注意報の発表回数
図2 斑点米カメムシに関する警報・注意報の発表回数
 (1990年年以降2010年まで、警報は注意報2回分としてカウントした)
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●畦畔のイネ科雑草が発生源

 イネ科の雑草が発生源となるので、被害軽減のために畦畔の草刈りを行うことが有効です。ただしイネの出穂時期に下手に草刈りをすると、行き場を失ったカメムシが水田に直行ということにもなりかねないので、イネの出穂時期に草を刈ることは避けた方がよいでしょう。
 斑点米カメムシは畦畔際で多くみられるので、畦畔際と水田中央の収穫物を混ぜないことも大切です。田植えの際に育苗箱に散布した薬剤は出穂のころには効果は低下しているので、斑点米カメムシに対する殺虫剤による防除は、本田に夏に散布することになります。


森本信生
農研機構 畜産草地研究所 飼料生産研究領域
病虫害グループ 虫害担当