提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


稲作

水稲のプール育苗の方法を教えて下さい。

プール育苗とは、パイプハウス内にビニールまたはポリフィルムを用いて簡易水槽(プール)を作り、湛水状態で育苗をおこなう方法です。

  1. プール育苗の利点
    プール育苗では、灌水作業や温度管理を簡略できるため、育苗労働時間を短縮できます。また、育苗障害が少なくなります。
  2. プール育苗の方法
    1. 育苗場所
      パイプハウスの設置場所は、育苗箱の置き床を極めて、均平にする必要があるため、均平作業が容易な場所を選定します。

    2. 均平作業
      パイプハウスの4隅に支柱を立て、簡易水準器などを用いて基準線を引き、水糸を張ってその水糸に沿って置き床を均平にします。
    3. 簡易水槽(プール)の設置
      置き床の周囲には、木材(板、角材)や土を用います。7~10cmの深さを作り、水の循環を良くするために、必ず箱の周囲を5cm位あけます。
      また、排水を容易にするため、水尻を設けます。

    4. 苗箱、敷き紙
      根が伸びて、底孔から大量に出るため、底孔が少ない箱や底面に凹凸がある箱を用いると良いでしょう。
      中苗用などの開孔の多いものは、新聞紙を2重に敷くか専用の敷き紙を用います。

    5. 床土
      床土は、山土、水田土、人工床土、土以外を原料として、成形培地等の何れを用いても良いです。成形培地は、播種前に箱当たり2リットル灌水し、湛水後も培地が乾き過ぎないように注意します。

    6. 床土施肥
      慣行育苗と同程度とし、基肥は箱当り成分量で、N,P2O,K2O各1gを入れ混和します。

    7. 種子予措、浸種、催芽、播種量
      慣行の育苗と同様に行います。

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  4. 育苗管理の方法
    1. 播種時期
      プール育苗は、低温条件での活着が劣ることや水温が低い時期では、マット形成が悪くなるため、寒地では、5月10日頃以降に田植えするように播種します。

    2. 水管理
      湛水時期は、緑化が終了し、被覆をとる葉齢1~1.2葉期頃にします。
      最初は、床土面まで湛水し、水深が浅い所で1cm以下になったら草丈の半分まで湛水します。湛水期間は、8~10日間程度です。

    3. 温度管理
      緑化までは、従来の育苗管理と同じ温度管理を行います。プールを湛水状態にしたら、原則として昼夜ともパイプハウスのサイドビニールを開放します。

    4. 移植前追肥
      苗の老化防止や移植後の活着を早めるため、移植5日前に、N(窒素)成分で、箱当り1g追肥します。

    5. 落水時期
      移植の2~4日前に落水します。

    6. 病害虫防除
      温度変化が少ないので、慣行育苗に比べ、ムレ苗や苗ヤケなどの育苗障害の発生が少なく、カビや苗立枯病の発生も少なくなります。ハウス周囲からのケラ等の侵入に注意します。

  5. 育苗、移植の留意事項
    播種期を遅らせると水温が上昇し、徒長しやすいので、気温が高い場合はサイドビニールを大きく開放して換気します。また、プール育苗は根量が多く、マット形成は良いものの、低温に対する抵抗力が弱いので、低温時の移植は避けます。

農作業便利帖稲編「プール育苗の実際」に、詳しい手順の記載がございますので、ご覧ください。