提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


稲作

最近、「コシヒカリBL」という言葉をよく耳にしますが、「コシヒカリBL」とは何でしょうか。

コシヒカリBL(Blast Resistance Lines)とは、直訳しますと、いもち病抵抗性系統、すなわち「いもち病に強いコシヒカリ」です。コシヒカリに稲の大敵である、いもち病に強い性質をプラスした品種で、開発方法は、「遺伝子組換え」でなく、「戻し交配(バッククロス)」という従来からの育種方法で育成されたものです。

  1. コシヒカリBL推進の利点
    いもち病防除の農薬使用量が大幅に削減され、次のメリットがあります。

    1. 生産コストが低減します。

    2. 環境保全型稲作の積極的な推進が可能になります。

    3. 消費者により、安全・安心なコシヒカリが提供できます。

    4. DNA判別により、他県産「コシヒカリ」との識別や混入防止が可能となります。

  2. 開発方法
    1. コシヒカリに、いもち病の抵抗性を持たせるため、まず「コシヒカリ」にいもち病に強い品種を交配し、その子供に「コシヒカリ」を繰り返し繰り返し交配します。

    2. この方法を戻し交配と言い、5~6回「コシヒカリ」を交配すれば品種の特徴が「コシヒカリ」と同質になります。戻し交配の際、「コシヒカリ」により近いものを選んで交配しますので、限りなく「コシヒカリ」に近いものになります。

    3. 様々な種類のいもち病菌(レース)に対して、抵抗性を持った品種を戻し交配したコシヒカリ、すなわち「いもち病に強いコシヒカリ」をいくつも育成します。

  3. 栽培方法
    1. コシヒカリBLは、コシヒカリと栽培方法は異なるのですか?
      コシヒカリBLは、生育特性、収量、品質、食味が従来のコシヒカリと変わらないので、施肥や水管理等の栽培管理は変更せず栽培できます。

    2. コシヒカリBLは、直播栽培できますか?
      従来のコシヒカリと生育特性が変わらないので、直播栽培ができ、その特性は変わりません。

    3. コシヒカリBLのいもち病防除のどのようにしますか?
      少発生地区では、葉いもち・穂いもち病は無防除とします。多発生地区では、葉いもち、または穂いもち病のいづれかの防除を実施します。

    4. コシヒカリBLは、苗の段階からいもち病に対する抵抗性を持っているのですか?
      いもち病に対する抵抗性は、基本的には苗の時から発揮されます。

  4. 種子籾に関すること
    1. コシヒカリBLの種子籾は、全国の誰でも購入できますか?
      新潟県の稲作生産者以外には、購入販売の取り扱いはできません。新潟県が育成者権を所有しており、種苗法によって県の許可を受けた者以外は生産、販売を禁止されているためです。
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    3. 種子更新はなぜ毎年必要なのですか?
      自家採種を繰り返すと品種特性を失う可能性が高く、消費地でのDNA鑑定によって異品種と判定される場合がありますので、種子更新をすることが必要です。

    4. 種子更新100%では、生産コストが高くなりませんか?
      新潟県の試算によると、10a当り種子購入の場合「1750円」、自家採種の場合は「834円」で、差し引き「916円」高くなります。しかし、農薬経費、散布費用「4600円」を軽減できますので、差し引き「3684円」のコスト低減になります。

  5. 流通、販売に関すること
    1. 「コシヒカリBL」は、どうして「コシヒカリ」として販売できるのですか?
      JAS法で、農産物検査における産地銘柄を品種名として表示することが決められております。
      したがって、コシヒカリBLであっても従来どおり「新潟県産コシヒカリ」となりますので、販売においてはJAS法の表示に則り「コシヒカリ」として表示されることになります。
    2. 収量、品質、食味や価格は、従来のコシヒカリと変わらないのですか?
      開発育成までに15年の歳月をかけ、市場や流通業者、消費者への説明、モニタリング調査を得て、導入普及しており、従来のコシヒカリと変わりません。
      食味については、(財)日本穀物検定協会が実施している「米の食味ランキング」等でも従来コシヒカリ同等「美味しい」と評価されております。