提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ヒゲ親父が語る天敵の話 【11】

2009年06月02日

ミツバチ減少の原因は?

     山中 聡



 なぜ、今ミツバチが不足しているのか、メディアが様々に報道しています。実際のところ、今の状況は、何年も前から予想されていたものです。


 養蜂業者の主たる商売は、「はちみつを製造する」ことです。しかし、このビジネスは長年、中国産や他の海外輸入製品に押されてきました。国内産はちみつのコストが海外産に比べて高く、安い海外製品との競争に負けて、ここ数年で廃業を余儀なくされた業者が少なくありません。

 また、水田の前作に植えられたレンゲを使っての養蜂も、アルファルファタコゾウムシの侵入で、面積が減っています。そのため、はちみつ製造がふるわなくなった国内の業者は、生き残りをかけて、養蜂の規模拡大や受粉用ミツバチの販売・貸与などを進めてきました。

 そこに、中国産はちみつに対する不信感から、国内産のはちみつ需要の増加、海外からの女王蜂輸入の停止、ミツバチの大量死などの不可抗力が加わって、受粉用ミツバチの供給不足になったのです。


 このように不足の原因はいくつもありますが、養蜂業者が安心して商売ができるような環境が崩れてしまったのが、一番の原因だと感じています。残念ながら、この根本部分の解決は、あまり聞こえてきません。


ナチュポール・ブラック (在来種のクロマルハナバチ)

 対策のひとつに、女王蜂を南米から導入する、という案があるようです。が、種によっては、クマのプーさんを追いかけるミツバチのようには人に対しておとなしくない性格のハチもいるようで、輸入元選定には、慎重な判断が必要でしょう。

 受粉昆虫としてのミツバチの代わりに、マルハナバチの利用が可能かという議論があります。特にイチゴでは、ミツバチの不足からマルハナバチの利用が検討されています。
左 :ナチュポール・ブラック (在来種のクロマルハナバチ) 


 実は、マルハナバチは、受粉に比較的多く使われているトマトの花よりも、イチゴの花が大好きで、受粉率が非常に高いのです。そこで、次回はイチゴでのマルハナバチ利用について、話題にしたいと思います。


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やまなか さとし

東京生まれ、横浜育ち。農学博士。
農薬メーカー研究所にて各種生物農薬の研究開発に従事。
現在、アリスタライフサイエンス(株) IPM推進本部 開発部長