提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


食の「ものさし」を捨てるときが来た 【3】

2008年04月02日

「年間100品目以上」の経営

    農産物流通・ITコンサルタント 山本謙治


 神奈川県横須賀市で専業農家を営む長島勝美君とは、歳が近いこともあって、もう10年来の付き合いになる。

 彼は年間120品目の野菜を栽培している。卸売市場には一切取引がなく、百貨店と生協、そして8軒のレストランへの出荷で全てをさばいてしまう。


年間120品目作付けする農園にて  出荷は常に10種以上  直接取引をしているフレンチレストランにて

        

 珍しい洋野菜から基本品目まで、どんなときも12種類程度は野菜が揃うから、フレンチやイタリアンのレストランでは彼から週に1回の宅配を受ければ、旬の一皿を創り出すことができる。

 しかも、シェフからは「これくらいのサイズで出荷しちゃって欲しい」などの依頼も受け、オーダーメード型の栽培をすることで、他には乗り換えられない関係性を構築しているのだ。


  多品種・少量の作付けをすることで多様性が出てくる。


 横須賀市に隣接する三浦市は、大根とキャベツの大産地として有名であり、ここで農家を営む場合は大根、キャベツ、スイカ、カボチャを作付けすれば商売は成り立つといわれているらしい。


 しかし、そこにも年間140品目を栽培する農家が居る。


 高梨雅人さんは、ほとんど全ての作物を自宅前の街道沿いに建てた直売所で売りさばく。それで生計を立てているのだから、本当に直売のプロだと呼べるだろう。
 お客さんの要望を聴いたり、購買行動をみているうちにあれも、これもというようになり、気づいたら140品目。

年間150品目を直売で売り切る農場  年間150品目を直売で売り切る農場 その2


 昨今、珍しい海外の野菜やマイナー野菜を手がける農家が話題に上るが、単純に品目数でいえばトップレベルだと思う。(つづく

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やまもと けんじ

株式会社グッドテーブルズ代表取締役・農産物流通コンサルタント。
一次産品の商品開発のアドバイザーをする傍ら、全国の郷土食を食べ歩いている。「週刊フライデー」、「きょうの料理」、「やさい畑」などに連載を持ち、著書に「日本の食は安すぎる」(講談社)、「実践農産物トレーサビリティ」(誠文堂新光社)などがある。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」も人気が高い。