提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


青虫の足あと【97】

2015年08月05日

めんつむ 

山田早織


私たちの福祉施設では、「遠州綿紬」の生地を使った自主製品を作っています。
「遠州綿紬」は、江戸時代から遠州地方で続く、伝統ある綿織物です(私が住んでいる地域を「遠州」と呼びます)。

私が異動して今の部署にきたときには、遠州綿紬で作ったくるみボタンと、くるみボタンをつけたゴムしかありませんでした。


年に2回、「ぬくもり市」という、遠州綿紬を使った作家さんたちの展示販売会があります。そこにうちの施設も参加させてもらっていますが、前回出展したときに、プロの皆さんの中でうちの施設の物はなんだか恥ずかしいなぁ、という気持ちになりました(そしてその後、施設内ですごくモメた。笑)。

みんなで話し、本気で商品を開発して生産していくか、「ぬくもり市」に参加することをやめてしまうか、考えました。
商品を開発するなら、どんなものにするか、そもそも利用者さんは縫製ができるのか等々。


yamada_98_1.jpg結局、業務用のミシンを一台購入。週に一度、プロの先生に指導に来てもらい、縫製が得意なパートさんがいることも幸いし、商品開発をすることに。
前回私が苦しまぎれに生み出したリボンを強化することと、ネームストラップを作ることに決めました。


先生の指導のもと、試行錯誤を繰り返し、でき上がったネームストラップ。
一本できるごとに、かわいい! とか、この色の組み合わせいいね!! などの声が飛び交います。
私にとっても、パートさんたちにとっても、思い入れの深いものになりました。


yamada_98_2.jpgところが、パーツが売っていない。ネットなどで売ってはいるものの、求めているようなものではない。困り果てていたころ、別件で相談するために紹介してもらった方が、たまたまストラップを生産している会社をご存知で、すぐに紹介してくださり、ご好意でパーツを分けてもらえることに!!

自分たちの思いと、地域のつながりがあって、でき上がったネームストラップ。
ますます思いが高まります。


まずはうちの施設の中でも、外回りをする部署の職員に売りつけ(笑)、宣伝をしてもらうよう、お願いをすることに。
イベントにも積極的に持っていくことにしました。


もちろん、今回の「ぬくもり市」には胸を張って出展しました!
反応はいいと思う(あくまで自己評価)。

さらに、うちの医療法人の職員全員に支給してもらえるよう、理事長にかけあってみたり。
乗り気になってくれた理事会も使ってくれました。
今後、学会のお土産にもいいんじゃないかとの声も・・・(夢はふくらむ)。


yamada_98_3.jpg自分たちが一生懸命作ったものが、自分たちの手を離れても、なお思いがつながり、施設の活気にもつながる上に、利用者さんの工賃アップにもつながっていく。

さらに、みんなで地域のものを身につけるということで、地域の活性化にも(ちょっとだけでも)役に立てるなんて、すばらしい。


施設の中でも「遠州綿紬」のことを「めんつむ」と親しみを込めて呼んでいる。
そしてすでに新しい商品作りに着手している(私だけ突っ走ってるかも)。

次は、作業をしてくれている利用者さんたちのやる気をアップさせる努力だ!


※遠州綿紬については、「ぬくもり工房」をご覧ください。

やまだ さおり

静岡県浜松市出身。フランス料理店に勤務後、23歳で起業した(有)しあわせ家族代表取締役、園芸福祉士。培養土、花苗・野菜苗の販売のほか、庭づくりや商店のディスプレー、野菜の宅配など、関心とニーズのある分野に事業とボランティアを展開中。