提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


実録!農業者の経営相談 【6】

2007年09月07日

兼業あるいは趣味の農業から専業になった時の税務申告

     回答者:農業経営コンサルタント 志渡和男


【 質問 】
 今までは妻が自家用の野菜を作っていました(販売はしていない)が、昨年定年となって私が農業に従事するようになり、若干の野菜を販売しました。税務申告はどのようにしたらよいでしょうか?


【 回答 】
 農業経営をおこない所得があった(販売によって利益が生じた)場合には、事業所得(農業所得)の確定申告をする必要があります。


1) 年の途中で退職し、給与所得と農業所得のほかに所得がない場合

 給与所得の源泉徴収表と農業の収支計算書をもとに、所得税の確定申告をします。年の途中で退職していると、給与所得の源泉所得税を一般的には多く納めていることになるので、確定申告をすることで税額が調整されます。
農業所得がほんの少しだけの場合には還付が受けられる場合もあります。
なお、年金など他の所得がある場合には、これらの所得も合わせて申告してください。


2) ご主人が勤務していたなどのため、それまで奥さんが農業経営をおこない所得税の申告していた場合

 経営主が交代した旨の理由を添え(ご主人が定年によって農業に従事する等)、奥さんは事業中止の届出をし、代わってご主人が事業開始の届出をおこないます。農業所得(事業所得)の確定申告にあたります。


3) 今まで親が行っていた農業を定年によって全面的に引き継いだ場合

 事業用資産がない場合は特に問題はありませんが、固定資産(温室やトラクター等)が多額にある場合には、そのままでは贈与税が課税されます。贈与税の納税猶予の届出(農業の経営移譲に係る農業用財産についての申し出書を提出)をしてください。相続の時点で相続財産に参入することを条件に、贈与税を留保することができます。

 また、肉牛などの棚卸資産が多額にある場合には、棚卸資産は贈与税の留保の対象となりませんので、贈与税が発生する恐れがあります。


 これらについては実態によって状況が異なりますので、詳しくは地元の税理士や税務署に相談してください。(了)

 (株)クボタのイベント“近畿夢農業”(京都府、2007年1月28日~31日)開催時に、経営相談コーナーに寄せられた相談を、数回にわたってご紹介しました。

しど かずお

昭和13年秋田市生まれ、神奈川県横浜市在住。
神奈川県農業会議、神奈川県農業協同組合中央会に勤務。現在、アグロ・サポート代表、農業経営コンサルタント。
また、(社)全国農業改良普及支援協会専門調査員ほか、多機関でコンサルタント、委員を務め、農業法人関係、農業経営全般、 農業税制等について、幅広く経営分析・診断、アドバイス等をおこなっている。
著書「農業法人の設立」「ウェルカム経営診断」ほか、専門誌への連載等多数。