提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ダボハゼのつまみ喰い  【4】

2007年06月18日

【フジツボは貝?】

    全国農業改良普及支援協会副会長  関 康洋


 海水浴や磯遊びの時、岩などに付着している富士山の噴火口のような形をしている貝「フジツボ」で、体が傷ついたことはありませんか?
 この貝(?)、岩だけでなく、流れ木、岸壁、船底、鯨の皮膚など、どこにでもくっついてしまう厄介者である。


 過日、青森市内の鮮魚市場でこのフジツボを見た。早速どこで食べられるか聞いてみた。市内の郷土料理屋さんなら、たいがい置いてあるとのこと。 このフジツボを、東北の一部地域では、昔から味噌汁に入れたり塩茹でして、食していたようだ。

 早速食してみた。

 磯や岸壁で見るものと比べ、数段の大きさ。値段もレア物(?)だけに、結構なお値段である。塩茹でしたフジツボが、お皿に載って出てきた。

 富士山の噴火口の中に、頭にツメのような物が生えた中身が入っている。これをつまんで、引っ張り出し食べる。食べるところは意外に少ない。


 口に含んで驚いた。貝の味では無い!カニの味だ! 
 その姿からは想像もできない美味しさ。貝なのに、なぜカニの味がするのか不思議である。


 ある時、農薬の開発研究をしている方との酒飲み話に、「フジツボを食べたらカニの味がした」と話したところ、「あったりまえじゃあねえか、貝の味がすると言われりゃビックリするよ。あんたとあろうものが、フジツボを貝だと思っていたというのが驚きだ!」と言われてしまった。

 生まれも育ちも海辺近くの私であるが、今日の今日まで、フジツボが貝ではなく、エビやカニと同じ甲殻類だと言うことを知らなかった。カニの味がしたのも当然である。



 農薬の研究者が、なぜ、フジツボが貝ではなく、甲殻類であることを知っていたのか。

 彼曰く、農薬の研究開発は、作物や土壌、その周辺の生物に対する安全性のほか、河川・海への流失時の安全対策など、幅広い安全性を求められる。

 そのため、海の生物への影響調査を実施しているとのこと。特に河川や沿岸のエビ等の甲殻類への調査は欠かせない。知っていて当然のことらしい。

 最近の殺虫剤の中には、これら甲殻類に影響のある剤も存在し、このことを逆手にとって、船舶へのフジツボの付着防止に使うことができないか、などを研究しているらしい。

(ふじつぼの画像は、愛魚(アイフィッシュ)様サイト( http://www.rakuten.co.jp/ifish/481379/488957/ )よりお借りしました。)

せき やすひろ

社団法人全国農業改良普及支援協会