提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


EZOからのおいしい便り 【8】

2007年12月14日

 バターが足りないっ!牛もいないっ!

    農村ライター 長尾道子


 気がつけばもう師走。師走の声を聞くとやれクリスマスだ、正月だ、休みだ! と、これからやってくる大イベントを前に何故か気忙しくなって、意味もなくバタバタしてしまいませんか?

 私はこの時期は特に慌てふためいてしまうようで、「あれ、準備するの忘れた!」「ああ、まだ手をつけていない!」「きゃあ~」ということが起こり、気が付けば大晦日…という慌しい年末を性懲りもなく毎年迎えています。


 子どもの頃はそんなことはなく、むしろこの季節は楽しみで仕方がありませんでした。


今年は高値!のバター

 クリスマスには1人1本あたるチキンレッグのグリル、生のジャガイモから作るフライドポテト、ガス台に乗せて使うオーブンで火を調節しながら焼くスポンジに弟妹とデコレーションしたケーキ、金・銀紙に包まれたシュワっとした発泡飲料・シャンメリー…と、今考えるとそれほど豪華なメニューではないのですが、そのときは本当にその日が待ち遠しくて仕方がありませんでした。


 最近、もりもりご飯を食べるようになった息子にも、そんなおいしい思い出を作ってあげたいと、今年のクリスマスには夫の大好きなグラタンやケーキを作ろうと思っていたのですが、いつもなら安売りしているバターが高くてびっくり!

 しかも、インターネットの菓子材料販売のサイトでは品切れ続出です。そういえば、10月に北海道に帰省したとき、喫茶店を営む友人が「もうこの時期からバターが足りないの。クリスマスはどうなっちゃうんだろうね。本当に参っちゃうよ」と言っていたことを思い出しました。


 昨年、生乳が大量に余ったためにそのまま廃棄し、今年になって「生産調整」ということで、まだ搾ることができる母牛がかなりの頭数、処分されてしまいました。精神的にも経済的にも酪農家の人たちにとって辛いことだったと察します。また、暑さに弱い牛たちにとって、今年の夏の酷暑がストレスとなり、お乳の量も減ってしまった…。様々な要因が重なり、バターにする生乳が足りなくなってしまったと言われています。


 私も出産して昨年からおっぱいが出ていますので、母牛たちの気持ちになって考えることが多くなりました。おっぱいを出すためにはまず出産しなくてはいけません。出産は大仕事! ものすごく体力を使います。

 そしてすぐにお乳を搾りますが、たくさん出すために食事をいっぱいとります。食べたものをおっぱいに変えるために身体がフル稼働するので、いつもよりも疲れやすくなります。また、おっぱいを搾っている最中に、次の出産のための種付けをしてお腹に子どもを抱える牛もいるので、さらに体力は消耗する…そう考えていくと、人間は母牛が身体を酷使して出してくれているお乳のおかげで、おいしい牛乳やケーキ、お菓子などが食べられるんですよね。


 人間と同じくらいの月数、お腹で育った子牛が出てきて初めてお乳が出る。それらが牛乳やバター、生クリームやチーズになるということを、頂いている私たち人間は決して忘れてはいけない。

 今回のバター不足は、そんな当たり前のことに気付いてほしいという、亡き母牛たちからのメッセージのような気がしてならないのです。


《今回のおいしいモノ》

 しそ焼酎・鍛高譚(たんたかたん)をご存知ですか? この焼酎の紫蘇は、北海道の白糠町(しらぬかちょう)という町で生産されたもの。

 その白糠町で、赤と青紫蘇を使ったシャンメリー「鍛高シャンメリー」が昨年開発されました。赤紫蘇のほうは、薄いピンク色をしていて紫蘇の香りがふわっとするもの、青紫蘇は、赤紫蘇よりも爽やかな口当たり。「こんなシャンメリー、初めて!」と感動すること、間違いなし、です。今年のクリスマスにはこんなシャンメリーで過ごしてみては如何ですか?

 白糠町民は、しそ焼酎をシャンメリーで割って飲むそうです。これ、かなりおいしいらしい…。

ながお みちこ

異業種の職業を持つメンバーが「食」と「農」のあり方を真剣に考え、行動する「食農わくわくねっとわーく北海道」事務局長。食べることと農は一体。自分たちの生活を楽しくするために、「一緒にわくわくしましょう」という思いを実践する。