提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


ろみお的チャイナ!“去看説听味”!! 【3】

2007年08月02日

第3回:いざ輸出へ! 生産者が注意すべきこととは?

    森 路未央


 中国への農水産物・食品の輸出は、手続販売の場面で、問題が起こることが多い。

清涼飲料の模倣商品


 輸出そのものは、生産者に直接関係なさそうだが、いざ輸出となると、大きくかかわってくることがある。中国の「有名なニセモノ問題」などへの対応は、生産者も準備しておかなければならない。


 ニセモノ商品は、作る側がニセモノであることを承知で作っている。消費者の知識不足と、本物よりも安価であることで、消費者の要求に応える商品になっている。


 たとえば、中国では、日本のリンゴの品種である“富士”が多く生産されているが、随分前に中国で商標が取得されている。“富士”という名前のリンゴを日本から中国に輸出して、中国で販売することは事実上できないということになる。“ふじ”や“フジ”は、外国語であるため商標登録できない。

 “フジ”は日本リンゴのブランドなのに、商標権を中国の企業が先に取得したために、中国ではニセモノが本物になってしまい、日本が輸出する本物がニセモノになってしまうのだ。

企業名が入ったインスタントラーメン。これもコピー。


 対策は、商標権の有無を輸出前に確認しておくことだ。


 事前に、輸出者や販売者が登録したい商標名がすでに登録されているかどうかを、中国の商標局で確認しておくことを、生産者が契約書の中に記しておく必要がある。
 
 しかし、実際は、輸出手続や販売に注力することに精一杯で、そこまで確認しきれないまま輸出時期が迫り、商標対策をせずに輸出してしまうケースが多い。(商標登録企業に商標使用料を払うか、別の商標で登録しないと販売ができない。)これではせっかく輸出できても、いざ販売というときに、自らのブランドで売ることができなくなってしまう。


 生産者にとって、自らのブランド名で販売できないのは死活問題であるし、時間と労力と愛情をこめて大切に育てた商品を販売できなくなることには、納得がいかないはずだ。


 最悪のケースは、別の会社がすでに商標を取得していることを知らずに、その商標で販売してしまい、商標取得会社に訴えられてしまうことだ。

 となると、裁判沙汰になるのだが、和解までもっていくには相当な労力と時間がかかるので、是非事前措置を講じていただきたい。(画像提供:独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)

(※画像をクリックすると大きく表示されます)


【去看説听味】
中国語で「去」は日本語の「行く」、「看」は「見る」、「説」は「話す」、「听」は「聞く」、「味」は「味わう」を表します。

もり ろみお

1973年生まれ。東京農業大学大学院博士後期課程修了・博士(農業経済学)。
2001~2004年、日本学術振興会PD特別研究員(この間に1年半、中国農業大学経済管理学院訪問学者として北京市に滞在)。
2004~2006年、在広州日本国総領事館専門調査員(華南地域の経済担当)。
2006年4月から独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)輸出促進・農水産部農水産調査課職員。
専門は中国の農業と農村部の経済問題。