提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


信州発 "農"と言える日本人 【49】

2013年05月02日

農業機械の寿命と農家

                              高見澤勇太


農業に使用する機械は大小さまざま。
機械をていねいに使用する人、乱暴に扱う人、
使用方法・時間によって機械の更新時期もさまざま。

税制上の対応年数は3年~7年のものが多い。
しかし実際に使用する年数は、短い人でも10年、
長持ちさせる人は、30年以上も大切に使う。


もしも農業にも定年退職があるとすれば、
20歳で就農して60歳まで農業をして、
20年使う機械は2代目で天寿を全うする。
30年使える機械は、2代目を買うのをためらうかも知れない。


自分は現在49歳。
使用中の農業機械は10年~20年物が主流である。
もしも60歳まで農業をすると仮定すると、
ちょうど機械たちも寿命がくる。

『農業後継者の育成』と騒がれているが、
子供が後を継いで現状と同じ農業をすると
機械を全部更新することになる。
はたして後継者ができることは喜べるものなのか?


takamizawa49_1.jpg新車で揃えると概算で、
農薬散布用トラクター&散布作業機・・・1200万円
運搬用トラクター&作業機    ・・・1400万円
マルチ張り用トラクター&作業機 ・・・ 350万円
堆肥運搬ダンプ         ・・・ 450万円
堆肥舎用ホイールローダー    ・・・ 500万円
プラウその他作業機       ・・・ 300万円
2tトラック、軽トラ、軽バン他 ・・・ 600万円
合計              ・・・約4800万円 (わが家の事例)

農業機械だけで約5000万円、
その他に車庫や育苗ハウスなどの建物を考えると、
今の景気では、後継者を迎えて農業を続けて行くのは困難な状況だ。


この状況を打開して生き残るには、
個人で所有する意識から脱却して、複数軒で共同使用するか、
中古機械を購入するぐらいしか思い浮かばない。
共同だと、使用時期の競合など少々の不便はがまんする。


今は、小さい農家が離農して、
その農地を借りて拡大していく大農家が多くなっている。

日本の農業は永遠に不滅だろう。
しかし、農家は滅亡して行くかもしれない。
世の中が変わってゆくのに、農家が変化できなければ消えてなくなるのは仕方ない。
数年後に農業をしているのは、農家ではなく企業なのだろうか。

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」