提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


信州発 "農"と言える日本人 【48】

2013年03月29日

必要なもの・いらないもの

                              高見澤勇太


「今、わが家の畑に足りない肥料成分はチッソと苦土。だから足りない分だけ補う」
土壌診断に基づいて不足分だけ補う施肥を始めてから10年が過ぎた。
10年間、リン酸・カリ・石灰を播かない畑もある。
10年前に土壌環境を整えてから、畑に投入する化学肥料は尿素1袋(/10a)の畑もある。
だが、さすがに今年の土壌診断では、必要不可欠な成分が下限域まで下がってきた。
今年の秋は、土壌環境を整える作業が必要なようだ。
それでも十分おいしい野菜が収穫できている。
そのベースには、良質の堆肥を投入していることがポイントだと感じている。


takamizawa48_1.jpg堆肥は、基本的に秋の収穫後にまく。
以前は畑が堆肥の捨て場所のように、毎年10aあたり10t播くこともあったが、現在は4t程度で、使用しない年もある。
畑に良いものでも、"過ぎたるは及ばざるがごとし"。特にカリなど過剰な成分がでてしまう。
春に堆肥まきする場合は、無肥料でスタートする。


堆肥の価格もだんだん変わってきた。
需要と供給の関係で、一番高額の時には、約4tで1万円する時代(自己引き取り)もあった。
現在は、牛・鶏・豚の3種類混合で、こだわりの堆肥を作るが、タダ・タダ・1000円と原材料費は非常に安い。
ただし、良質な堆肥を作るための施設・作業機械・発酵資材・労力などのコストはしっかり必要である。


ここまで自分流の施肥について書いてきたが、これを実行するに当たっては、師事する土の先生の存在が不可欠である。
土の先生の名前は池上洋助氏、安曇野市に在住する。
出会ったのは2002年の2月。
農業士の支部研修会で土の勉強会があった。
ちょうどその頃、農協の施肥基準に疑問を抱いていた。
研修会で話を聞き終わると「これだ!」と直感した。


takamizawa48_2.jpg自宅に帰り「(指導してほしいけれど)これから忙しくなる時期なので秋からお願いします」と電話すると「秋からやる? やるなら"今から"でしょ」と4月から月に一回の定例会が始まった。
土壌分析をして数字が出ても、残念ながら、それを読み取る力がない!
土壌分析の数字が読めて、それを自分の施肥設計に活用するのだ。
それが、農業士会南佐久支部・土の会の始まりである。


自分の畑に必要なものと、不必要なもの。
経費を節約しなければならない部分と、投資する部分。
それを見極めるための物差しと確かな目。
やり方は人それぞれ、十人十色。


失敗と成功を繰り返しながら、
野菜が成長するように、
人間としても成長したい。

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」