提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


信州発 “農”と言える日本人 【26】

2011年06月06日

        高見澤勇太


 今日は朝から雨が降っている。
 雨が降る日はなんだか落ち着く。


 晴れた日には農作業がはかどり作業が順調に進むが、仕事が全部終了しても、まだ何かやらなければいけないという強迫観念に襲われて落ち着かない。

 雨が降る日の農作業は晴れた日の2倍は疲労感があるが、「雨降りだし、今日はこの辺で終わりにしよう」と観念して仕事を終了できる。


 晴れの日が何日も続くと乾きから作物を守ろうと灌水をする。最近は長雨と乾燥のサイクルが長期化しているので、干ばつが続くと水の確保に苦慮して疲れ果てる。

 長雨は水分を取り除くことができないので「仕方がない」とあきらめがつく。

 毎日天気が良く干ばつ傾向だと作柄が良く、品質の良い野菜が沢山できる。そして安値が続き品質の良い野菜たちを大量に圃場廃棄したりする。

 雨が続くと作物は腐りやすい。自然が自然に圃場廃棄をしてくれて生産調整をする。
 そして、ふぞろいの野菜たちが高値で取引される。

 良くできた野菜は二束三文で、できの悪い野菜が高く売れたりする。


 長雨や豪雨ははたして『悪』なのか、それとも『善』なのか?

 野菜たちを買ってくれる生活者のみなさんは、天気のことをどう思っているのだろうか?
 あまり気にはしないのだろうか?
 「雨のせいだ」とか「暑過ぎた」とか、言い訳を聞いてくれるのだろうか?


 お天道様の気持は自分自身で判断しなければならない。
 だけど、お客さんの気持ちは聞くこともできるし、農家の現状も伝えることができる。

 農家も野菜を買ってくれるお客さんも同じ生活者。
 もっとお話ができる環境を作りたい。


 雨が、自分をこんな気持ちにさせた。

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」