提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


信州発 “農”と言える日本人 【15】

2010年07月05日

GAPを超えるシステムを待つ

         高見澤勇太


 栽培履歴簿記帳は、主に農薬の使用基準順守を目的に、これまでわが産地でも徹底されてきました。
 それを、もう一段階ステップアップさせた『GAP手法』に、昨年から取り組み始めました。


 GAP(Good Agricultural Practice)は、日本語にすると『農業生産工程管理』と訳されます。農業者自らが農作業の点検項目を決定し、食品の安全・環境保全・品質向上・労働の安全を確保するための有効な手法として欧州から導入され、現在中国・韓国では、国策として推進しています。


 JA長野八ヶ岳露地野菜のGAPチェックリストから、一部を紹介します。

1 野菜の栽培や食品安全にともなう研修会へ参加していますか。
2 生産に使用する肥料・農薬について記録をしていますか。
3 地球温暖化防止や環境保全につながる省エネ対策(アイドリングストップなど)に取り組んでいますか。
4 農薬は適正に保管してありますか。
5 土壌分析に基づいた適正な施肥をしていますか。
6 収穫3日前までに栽培履歴簿の点検を受けていますか。
7 収穫時に作業者の健康状態を確認し衛生管理をしていますか。(帽子着用・手袋着用・手入れ後の包丁使用・その他)

などを始め、現在22のチェック項目があります。


 食品の安心・安全について、生活者が不安を募らせる事故や事件などが後を絶たない状況がある現在、GAPは必要不可欠なものとなりつつあります。


 その一方、こんな風にも思います。
 『安心・安全』という言葉をよく耳にしますが、本当に安心してもらうためには、栽培履歴簿を見るよりも、履歴簿を付けている農家の人々と接する機会を設けることが必要ではないでしょうか。栽培履歴簿を付けた本人から、丹精込めた野菜の育て方や苦労話まで聞かされたら、それが何よりの安心であり、安全を確認できる瞬間となるでしょう。


 GAP手法をもう一歩前進させた、農作物の栽培者本人からの説明・解説を、生活者のみなさんに直接伝えられるシステムができたら、誰もが安心して国産の農産物を買ってくれる気がします。こうなれば誰が作ったか分からない、安いだけの輸入品には絶対負けないはずだ! がんばれ・日本 !!!

たかみざわ ゆうた

1964年長野県生まれ 北佐久農業高校卒業後、すぐに家業である農家の後を継ぐ。長野県農業士協会会長(07・08年)、野菜ソムリエながの代表(08・09年) 、南牧村議会議員(07年~11年)。座右の銘は「ゆるく・楽しく・美しく」