提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


麦・大豆

大豆編 大豆作の問題雑草と対策

2015年7月 2日

大豆作における問題雑草とは?

 大豆作に限りませんが、①発生しやすいかどうか、②防除が難しいかどうか、③被害の大きさ、によってその雑草の問題の大きさが決まります(図1)

benri_daizu10zassou_z1_.jpg
図1 大豆作における問題雑草とは?

「発生のしやすさ」
●大豆作で一般的となっている雑草(ヒエ類、メヒシバ、タデ類、シロザ、スベリヒユ等)は、発生しやすい雑草と言えるでしょう。
●一方で、最近問題となってきた外来雑草については、これまで見かけることがなかったからといって、発生しにくいとは限りません。同じ地域内のどこかで発生事例があれば、自分の圃場でも発生する可能性があると考えたほうがいいでしょう。

「防除の難しさ」
●土壌処理剤や茎葉処理剤などの除草剤がよく効くものや、中耕培土で死滅しやすいものは、防除しやすいと言えます。
●たとえ大きな被害をもたらす雑草であっても、簡単に防除できるのであれば大きな問題にはならないでしょう。
●逆に、効果の高い除草剤が少ない雑草や、中耕培土をしてもすぐに再生する雑草は防除が難しいと言えます。
●ただし、除草剤や中耕培土で防除しやすい雑草であっても、適期に処理できなければ効果が低くなることがあります。
●適期に処理できない要因として、天候や作業体制があります。
●特に、多くの圃場で生産されている方は、すべての播種が終わってから土壌処理剤を散布するのでは、遅すぎることもあります。播種と土壌処理剤散布の同時作業を行える作業体制が必要かもしれません。

「被害の大きさ」
●発生しやすくて、防除が難しいものでも、ほとんど被害をもたらさない雑草であれば大きな問題にはならないでしょう。
●逆に、大きな被害をもたらす雑草については、当然ながら優先的に防除しなくてはなりません。
●被害の種類もさまざまです。
●大豆作では、光、水、養分の競合によって減収をもたらすもの、つる性雑草など収穫作業などを阻害するもの、収穫物に混入して汚損粒の原因になるもの、などが代表的な被害です(図2)

benri_daizu10zassou_z2_.jpg
図2 大豆作で被害をもたらす雑草
 左 :生長が早く大型になるオオオナモミ。競合を引き起こします
 中 :つる性雑草のアレチウリ。収穫作業を阻害します
 右 :落葉期以降に発生するニシキアオイ。汚損粒の原因になりえます

問題雑草の対策 ~防除のポイント

「被害の種類に応じた防除のポイント」
●競合によって減収を引き起こす雑草については、より早い段階で防除することが重要となります。ヒユ類、オオオナモミ、アメリカセンダングサ、アメリカツノクサネムなどです。

benri_daizu10zassou_1_.jpg  benri_daizu10zassou_2_.jpg
 :オオオナモミ /  :アメリカツノクサネム

●つる性雑草については、つる化する前のタイミングで防除を繰り返すことが必要となるでしょう。帰化アサガオ類やアレチウリなどです。

benri_daizu10zassou_8_.jpg  benri_daizu10zassou_3_.jpg
 :マメアサガオ /  :アメリカツノクサネム

●収穫する際に多くの水分を保っているような雑草は、汚損粒の発生原因となります。この場合、通常の防除体系だけでは汚損粒被害を回避することができません。落葉期以降にも処理できる除草剤の使用や手取り除草などが必要になります。ホオズキ類、イヌホオズキ類などが代表的な雑草です。最近では、落葉期以降に発生するニシキアオイも要注意です。

benri_daizu10zassou_4_.jpg  benri_daizu10zassou_5_.jpg
 :イヌホオズキ類 /  :ニシキアオイ

「防除が必要な期間について」
●大豆の生育が進んで、畝が完全に大豆で覆われてしまえば(外に比べて10%以下の明るさになれば)、多くの雑草は、正常に生育できないことがわかっています。
●大豆の被陰効果が得られる時期の目安として、大豆の草高と条間の幅が同じになる時期があります(図3)

benri_daizu10zassou_z3_.jpg
図3 大豆による被陰効果が得られる時期の目安
大豆の播種条間の幅に対して草高が同じになる時期以降に発生したマルバルコウは生存できません


●難防除外来雑草として知られているマルバルコウ(帰化アサガオ類の1種)の防除研究で見つけられた指標ですが、他の雑草を防除する際にも参考になるでしょう。
●ただし落葉期以降に発生する雑草については、汚損粒発生防止のため、さらに防除が必要となります。

benri_daizu10zassou_6_.jpg
マルバルコウ

雑草防除の基本

●大きな被害をもたらすもので、比較的防除しやすいものは、まずしっかりと基本を押えて防除しましょう(図4)

benri_daizu10zassou_z4_.jpg
図4 大豆作における基本的な雑草防除のフローチャート
ただし、落葉期以降に発生する雑草はさらなる防除が必要です


●播種後の土壌処理除草剤の散布は、初期競合を防ぐために必須です。試験的に茎葉処理剤のみで防除しようとした例では、雑草が大型化し茎葉処理剤の効果もなくなってしまいました。
●土壌処理剤は多くの種類の雑草に効果がある一方で、極端に土壌が乾燥している条件や砕土率が低い場合に処理すると、効果が低くなる場合があります。
●土壌処理剤の効果が切れた後に行う中耕培土や茎葉処理除草剤の散布は、オプションとなります。
●茎葉処理剤は、発生している雑草に応じて選択する必要があります。大まかには、一年生イネ科雑草が生えている場合は一年生イネ科用の除草剤を、一年生広葉雑草が生えている場合は一年生広葉雑草に効果の高い除草剤を処理します。
●一年生イネ科雑草用茎葉処理剤は雑草の生育に合わせて処理できますが、一年生雑草(イネ科を除く)用茎葉処理剤であるベンタゾン液剤を全面処理できるのは大豆2葉期以降です。
●その時期にすでに後発生の雑草が多く見られる場合は、ただちに茎葉処理剤を散布する必要があります。
●すべての雑草が生えそろってから茎葉処理剤を散布しがちですが、雑草が大きくなりすぎて除草剤の効果が低下することがありますので注意が必要です。
●大豆による被陰効果が得られ始める時(大豆の草高が条間の幅と同じになる時期)まで土壌処理剤の効果が持続していれば、中耕培土や茎葉処理剤は不要かもしれません。
●ただし、中耕培土は雑草防除だけが目的ではありませんので、排水対策や倒伏防止などその他の効果も合わせて判断する必要があります。

「-圃場に入れない-難防除外来雑草対策の基本①」(図5を参照)

benri_daizu10zassou_z5_.jpg
図5 難防除外来雑草の侵入・分布拡大パターン
アレチウリなどに見られる典型的なパターンです。他の経路も考えられます


●帰化アサガオ類、アレチウリ、オオブタクサなどの外来雑草は防除が難しく、大きな被害をもたらします。
●防除が難しいこれらの雑草の対策としては、まず、侵入防止に努めます。
●外来雑草の場合、未熟堆肥によって侵入する場合があります。未熟だと含まれる雑草種子を死滅させるほど発酵温度が上がらないためです。最高温度が60℃以上になった堆肥中ではほとんどの雑草種子が死滅することがわかっていますので、かならず完熟堆肥を用いることが大切です。
●完熟堆肥を入れていても、水系を通じて侵入する場合や機械に付着して侵入する場合などがあり、完全な侵入防止を実現するのは不可能です。
●そのため、早期発見、早期対策が重要となります。見知らぬ雑草が少しでも生えていたらすぐに抜き取るようにしましょう。

benri_daizu10zassou_7_.jpg  benri_daizu10zassou_9_.jpg
 :マルバアメリカアサガオ /  :オオブタクサ

●また、圃場周辺からの侵入を防止するために、畦畔などの圃場周辺の管理も重要です。
●そのような場所では作物がないため、雑草はのびのびと生育することができ、圃場の中で発生するよりもはるかに多くの種子をつけます。
●また、圃場の中と比べて面積は小さいので、ここの管理を徹底するほうが、省力・低コストで効果的に雑草管理ができます。
●圃場周辺の雑草を管理するタイミングですが、種子を生産させないこと、雑草は花が咲いて種子を形成することを念頭に置くといいでしょう。
●ポイントは花が咲く前に管理することです。
●当たり前のことを言っているようですが、実際には、つい手の空いた時だけ草刈りしている場合が多いようです。タイミングを外すと種子生産を防ぐことができません。

「-拡げない-難防除外来雑草対策の基本②」
●侵入防止に努めることと同様に重要なことが、雑草を拡げないことです。
●複数の圃場を作付している場合では、機械に付着する土による拡散を防ぐために、必ず雑草の発生が少ない圃場から順に作業するようにします。
●また、防除しづらい雑草は地域全体にあっという間に拡がります。なので、地域全体で取り組むことも重要です。
●もしも圃場に侵入してしまった場合には、あまり発生本数が多くない初期の段階で徹底的に防除して種子を落とさないことが大切です。
●まん延してしまった場合は、使える防除手段を駆使して防除体系を組み立てる必要があります。

帰化アサガオ類対策

「帰化アサガオ類の防除」
●圃場周辺の管理では、花が咲く時期に合わせて、6月上旬、8月中旬、9月下旬には必ず防除することが必要です(図6)。地域で一斉防除の日を決めて取り組むといいでしょう。

benri_daizu10zassou_z6_.jpg
図6 帰化アサガオ類を増やさないための圃場周辺管理


●圃場にまん延した場合には、つる化すると除草剤や中耕培土による防除効果が極端に低下するため、つる化しないタイミングで防除することが必要となります(図7)

benri_daizu10zassou_z7_.jpg
図7 大豆圃場でまん延した場合の帰化アサガオ類防除のポイント
マルバルコウでは成功事例が報告されていますが、ベンタゾン液剤の効果が低いアメリカアサガオやホシアサガオなどではさらなる検討が必要です


●だらだらと長期間発生し続けるので、つる化を防ぐためには2週間ごとに防除を繰り返すことが重要です。
●最終的には、大豆による被陰効果が高まる時期(大豆の草高と条間の幅が同じになる時期)まで防除を続ける必要があります。
●実際の圃場で、プロメトリンを含む土壌処理剤(少し効果があります)→大豆2葉期でのベンタゾン液剤の全面処理(処理できる最も早い時期です)→2週間後の中耕培土→その2週間後のグルホシネート液剤の畦間処理(この時期で大豆の草高が条間の幅(60cm)と同じになりました)の体系でマルバルコウの完全防除に成功した事例もあります。

その他

●被害が大きく防除が難しい外来雑草がまん延した圃場では、防除コストが膨大になります。
●また、アレチウリなどのように防除体系が確立されていないものもあります。
●地域全体に拡げないためにも、場合によっては他の作物への転換も考える必要があるでしょう。

執筆者 
黒川俊二
農研機構 中央農業総合研究センター 生産体系研究領域

(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

◆麦・大豆編もくじはこちら