提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


麦・大豆

麦編 ランク区分 コムギ

2011年1月 7日

はじめに

●麦の収穫後の品質分析結果に基づいたランク区分方式によって、水田・畑作経営所得安定対策のうち、毎年の生産量・品質に基づく支払いの交付額が決まります。
●調査対象となる品質は、小麦ではたんぱく、灰分、容積重、フォーリングナンバーの4項目(醸造用小麦についてはたんぱく3項目と容積重)です。
●この4項目のうち、基準値を満たす項目の数で、ランク区分が決定されます。基準値は、小麦の用途によって個別に定められています(表)
 
表 小麦の用途別評価項目および基準値・許容値 
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Aランク
・品質評価項目の基準値を3つ以上達成し、かつ、許容値を全て達成している麦
Bランク
・品質評価項目の基準値を2つ達成し、かつ、許容値を全て達成している麦
Cランク
・品質評価項目の基準値を1つ達成し、かつ、許容値を全て達成している麦
・品質評価項目の基準値を2つ以上達成しているものの、許容値を達成していない麦
Dランク
・品質評価項目の基準値を全く達成していない麦
・品質評価項目の基準値を1つ達成しているものの、許容値を達成していない麦
・雑銘柄の麦
・異なる銘柄を混合している麦

品質項目

ランク区分にかかわる各品質項目は、以下のようになります。

「たんぱく」 
●子実中に含まれるタンパク質の量の割合です。
●用途によって、求められる基準値が異なります。
●ランク区分では、日本めん用小麦、パン及び中華めん用小麦、醸造用小麦の3つの用途に分けられます。
●日本めん用小麦に比べて、パン及び中華めん用小麦や醸造用小麦では、たんぱくが高いことが求められます。

「灰分」 
●小麦の粉を焼却して燃え残った、無機成分の割合です。
●灰分が多いと小麦粉の色がくすむため、値が小さい方が良いとされます。

「容積重」 
●1Lの容積に入る小麦の粒の重さ(g)で示されます。
●値が大きい方が、製粉の歩留まりが高いとされます。
●ブラウエル穀粒計または電気式穀粒計(株式会社ケット科学研究所 PM-830-2)で測定します。


図1 ブラウエル穀粒計による容積重の測定
150gの小麦を自然に詰めた時の容積を測定し、1L当たりの重さ(g)に換算します



図2 電気式穀粒計(株式会社ケット科学研究所 PM-830-2)
一定容積のカップで測り取った小麦を入れることで、非破壊で水分と容積重を測定できます


「フォーリングナンバー」 
●小麦粉中のデンプン粘度です。
●試験管に小麦粉を入れ、水を加えて温めながら撹拌した後に、撹拌棒が糊状になった溶液中を降下して試験管の底に到達するまでの時間です。
●小麦粉中のα-アミラーゼの活性が高いと、デンプンが分解され、溶液の粘度が低下して撹拌棒の沈降が早くなります(=フォーリングナンバーが低下します)。


図3 フォーリングナンバー測定用の試験官と撹拌棒
試験管に小麦粉を入れて水を加えて温めながら撹拌した後に、撹拌棒が糊状になった溶液中を降下して試験管の底に到達するまでの時間がフォーリングナンバーです


●α-アミラーゼ活性は、穂発芽することによって高くなるので、フォーリングナンバーは穂発芽の指標になります。

各基準値達成のための対策

「たんぱく」 
●たんぱくは、子実重(収量)に対するタンパク質の量の割合なので、子実重(収量)が増えると低下する傾向があります。
●品種によって、窒素施肥に対する収量やたんぱくの反応が異なります。
●一般に、同じ肥培管理を行っても、畑作に比べて水田作では低く、黒ボク土では高く、灰色低地土や泥炭土等では低くなる傾向があります。
●品種特性や土壌特性に応じた施肥をすることで、たんぱくを制御することができます。
●追肥する時期によって、たんぱくへの影響が違ってきます。
●出穂・開花前後の晩期追肥は、たんぱくを高める効果が高いです。
●たんぱくが高すぎる場合は、収量を上げることで、たんぱくを下げることができます。
●黒ボク土壌では、リン酸を施用すると収量が上がりますが、このように収量を制限している要因を取り除くことで収量を上げて、たんぱくを下げます。

「灰分」 
●土壌中の無機成分から作られます。
●同じ土壌、肥培管理でも、品種によって灰分に違いが見られます。
●粒の充実が良くなり子実重が重くなると、灰分は低下する傾向があります。

「容積重」 
●粒の充実が良いと、容積重は高くなります。
●雨害、日照不足、干ばつ、高温などにより登熟不良になると、粒の充実が悪くなり、容積重は低くなります。
●病害や倒伏、穂発芽などの障害により、容積重は低くなります。
●乾燥・調整時に比重選別や粒厚選別を行い、細麦を取り除くことにより、容積重をそろえることができます。

「フォーリングナンバー」 
●登熟後半から収穫時に降雨が続くと穂発芽し、フォーリングナンバーが低下することがあります。
●このとき低温だと休眠が打破され、穂発芽が助長されるので注意します。
●倒伏することで穂発芽しやすくなり、フォーリングナンバーが低下することがあるので、倒伏した小麦は刈り分けます。
●貯蔵・保管時には、乾燥・低湿度にすることで、フォーリングナンバーの低下を抑制できます。

執筆者 
島崎由美
農研機構 中央農業総合研究センター関東東海水田輪作研究チーム
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