提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


麦・大豆

麦編 品種の選定 ビールオオムギ

2010年12月22日

はじめに

「ビールオオムギは」
●ビールオオムギ(大麦)とは、ビール醸造用に用いる麦芽原料となる大麦の名称で、日本では二条オオムギがビールオオムギとして生産されています。

「ビールオオムギ栽培はちょっと違う」 
●ビール業界と品種育成地、各農業試験場、各生産指導団体が協力して実施しているビールオオムギ合同比較試験において、栽培、製麦、醸造上の品質が優れていると認められた品種のみが、指定品種となりビールオオムギ契約対象品種となります。
●ビール会社との契約により栽培が行われているため、契約のないところでは栽培できず、栽培しても、ビールオオムギとしては買ってもらえません。
●栽培する品種は、ビールオオムギ契約対象品種のなかから、道府県生産者団体と契約会社との協議で決定されます。

地域別品種紹介

●以下、2010年産で栽培面積の多い順に表記します。

「東日本栽培品種」 
●「スカイゴールデン」、「ミカモゴールデン」、「サチホゴールデン」、「りょうふう」、「みょうぎ二条」、「あまぎ二条」、「はるな二条」の7品種が栽培されています。
●「北育41号」と「彩の星」は、大量醸造試験が行われており、醸造上問題がなければ指定品種に格上げされ、それぞれ北海道と埼玉県の指定品種になる予定です。

「西日本栽培品種」 
●「サチホゴールデン」、「ミハルゴールド」、「ほうしゅん」、「アサカゴールド」、「おうみゆたか」、「しゅんれい」、「あまぎ二条」の7品種です。
●「スカイゴールデン」は、2010年播きから、岡山県で栽培が始まります。

「栽培面積の多い品種」 
◆スカイゴールデン 
●栃木県の主力品種です。
●早生種で整粒歩合が高いため、整粒収量が多いです。
●うどんこ病と、現在日本で確認されているすべての大麦縞萎縮病Ⅰ~Ⅴ型に、抵抗性があります。
●タンパク質含量が高くなりやすいので、注意が必要です。
●穀皮はしわが多く、薄く優れています。
●皮の貼り付きがやや劣るため、調製作業には注意が必要です。
●麦芽品質は優れています。


登熟期のスカイゴールデン (提供 :栃木県農業試験場栃木分場)


 :スカイゴールデンの株(スカイゴールデン(左)、あまぎ二条(右))
 :スカイゴールデンの穂と粒(スカイゴールデン(左)、あまぎ二条(右))


◆サチホゴールデン 
●栃木県、群馬県、佐賀県、大分県で栽培されています。
●早生、短稈、大粒で整粒歩合が高く、多収です。
●大麦縞萎縮病Ⅰ~Ⅲ型抵抗性でうどんこ病にも抵抗性があります。
●穀皮が薄く、側面裂皮がやや発生しやすいです。
●麦芽品質は優れています。  


左 :あまぎ二条 / 中央 :サチホゴールデン / 右 :ミカモゴールデン


 :サチホゴールデンの株(サチホゴールデン(左)、ミカモゴールデン(右))
 :サチホゴールデンの穂と粒(サチホゴールデン(左)、ミカモゴールデン(右))


◆ミハルゴールド 
●西日本で最も栽培面積が多く、岡山県と佐賀県で栽培されています。
●中生、大粒で整粒歩合が高く、多収です。
●大麦縞萎縮病Ⅰ型抵抗性と、うどんこ病に、抵抗性があります。
●穀皮が薄く剥皮しやすいため、調製作業に注意が必要です。
●麦芽品質は優れています。


登熟期のミハルゴールド (提供 :福岡県農業総合試験場)


 :ミハルゴールドの株(左から ミハルゴールド、あまぎ二条、ニシノゴールド)
 :ミハルゴールドの穂と粒(左から ミハルゴールド、あまぎ二条、ニシノゴールド)


◆ほうしゅん 
●滋賀県、福岡県、佐賀県で栽培されています。
●早生で整粒歩合が高く、多収です。
●大麦縞萎縮病Ⅰ型抵抗性とうどんこ病に抵抗性があります。
●穀皮が薄く剥皮しやすいため、調製作業に注意が必要です。
●麦芽品質は優れています。 


左 :登熟期のほうしゅん (提供 :福岡県農業総合試験場)


 :ほうしゅんの株(ほうしゅん(左)、あまぎ二条(右))
 :ほうしゅんの穂と粒(ほうしゅん(左)、あまぎ二条(右))


品種選びの注意点

「ビールオオムギ契約対象品種であるか、契約のある道府県か」 
●ビールオオムギは、ビール会社との契約で栽培されているため、ビールオオムギとしての栽培はすべての都道府県できるわけではありません。
●また、栽培する指定品種は各道府県によって異なっています。
●契約のある道府県で指定品種を栽培すると、ビールオオムギとして売り渡しをすることができます。
●指定品種であれば奨励品種に採用されており、種子の供給体制が整っています。
●県によっては複数の指定品種があり、地域により栽培されている品種が異なることがあります。

「大麦縞萎縮病が発生しているか」 
●ビールオオムギ栽培において最も大きな被害をもたらすのが、大麦縞萎縮病です。
●大麦縞萎縮病の発生地帯では、抵抗性のある品種を導入するようにします。
●大麦縞萎縮病Ⅲ型の発生が確認されている地域では、大麦縞萎縮病Ⅲ型に抵抗性がある「スカイゴールデン」、「サチホゴールデン」等の品種を選びます。


オオムギ縞萎縮病の発病した圃場と発病していない圃場
左 :オオムギ縞萎縮病の発病により黄化している


執筆者 
高山敏之
栃木県農業試験場栃木分場 ビール麦育種研究室 二条大麦育種指定試験地主任
(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

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