提供:(一社)全国農業改良普及支援協会 ・(株)クボタ


麦・大豆

麦編 播種法

2010年12月 6日

はじめに

●ムギ類の高品質・安定生産を図るためには、適期に播種を行い、良好な出芽苗立ちと初期生育の確保が重要です。
●複数の播種法がありますので、作付体系や圃場条件を考慮して選択します。

ドリル播き

●生育・収量を安定して確保できる、省力的な播種法です。
●整地後、施肥播種機(ドリルシーダまたはロータリーシーダ)で所定の施肥量・播種量に調整して、条間20~30cm、深さ3cm程度に10a当たり7~8kg播種します。
●苗立ちは150~200本/㎡を目標としますが、砕土、覆土の精度が発芽、初期生育の良否を左右するので、事前に耕起を行うか逆転ロータリを用いて耕起播種を行い、必要に応じ鎮圧も加えます。
●通常、播種機には同時施肥機構が付属していますので、基肥は播種条の近くに施されます。

「耕耘同時畝立て播種」
●最近、水田転作用に普及が拡大している耕耘同時畝立て播種はドリル播きの一種です。
●逆転ロータリの爪の配列を改良し、高さ10~15cm程度の畝成形を行いながら、播種、施肥を一行程で行う技術です。
●通常、事前に耕起する必要はありません。
●低湿・粘土地帯など排水が恒常的に劣り、地下水位が高い場合も畝上に播種されますので、出芽が安定し、生育・収量・品質も向上します(写真、図参照)


耕耘同時畝立て播種作業風景(長野県松本市にて)
左から上から
作業機幅170cm(5条) / 作業機幅220cm(8条)
全国農業システム化実証調査事業により排水性向上による麦類の生産安定効果が確認された。大豆、そばなど他の転作作物の播種も可能である



 耕耘同時畝立て播種のロータリ爪配列と畦形成イメージ (中央農業総合研究センター北陸研究センター原図を改編)

散播

●散播には、全面全層播きと表面散播があります。

「全面全層播き」
●全面全層播きは、種子と肥料を動力散粒機などで均一に散布した後、ロータリやハローを高速回転させ、5cm以内を耕起撹拌して混和・覆土・鎮圧する省力的な播種方法です。
●播種量は、10~12kg/10a程度と、ドリル播きよりも、多めとします。
●ドリル播きに比べ省力的ですが、播種深度が不安定で出芽・生育が不揃いとなり、凍上害・倒伏が発生しやすいなどの欠点があります。

「表面散播」
●表面散播は、過湿条件で播種後耕起できない圃場で行われますが、全面全層播きより根張りが浅くなり、凍上害・倒伏にはさらに注意が必要となります。

作業競合回避のための前作立毛間播種

●寒冷地帯では、大豆の収穫と麦類の播種が競合しますが、この対策として、専用の播種機で大豆立毛の列をまたいで麦類を部分作溝播種する技術が、実用化しています(東北農業研究センター開発)。
●このほか、簡易な方式として、大豆の黄葉始期に麦類の種子を大豆立毛間に散播すると、大豆の落葉が覆土の代わりになる大豆立毛間散播、水稲収穫時のコンバイン排出切りわらが覆土代わりとなる、水稲立毛間散播もあります。
●立毛間散播は、不耕起表面播となり越冬障害を受けやすいので、積雪寒冷地や高冷地での導入には向きません。

不耕起播種

●数タイプの汎用不耕起播種機が、開発されています。
●麦類の播種も可能ですが、施肥管理技術や雑草防除対策について、検討が進められています。

執筆者 
酒井長雄
長野県農業試験場作物部主任研究員
(文中の画像をクリックすると大きく表示されます)

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